GA4とBigQueryの連携方法と注意点について!メリットや成功のコツも解説
Google Analytics 4 (GA4) と BigQueryを連携させることで得られるメリット、具体的な連携方法、注意点、および連携を最大限活用してビジネスを成長させるためのコツを解説します。リアルタイムでの詳細なユーザー行動分析を実現し、データドリブンな意思決定を支援する方法について学びましょう。
▼この記事でわかること
- GA4とBigQueryを連携することで得られるメリット
- 具体的な連携方法
- 連携の際の注意点
- 連携させ事業をグロースさせるためのコツ
GA4とBigQueryの連携により、ユーザー行動情報を保存し、詳細な分析が可能になります。
こちらの記事では、GA4とBigQueryの連携方法やそのメリットなどを解説します。
BigQueryとは?
BigQueryはGoogle Cloudが提供するフルマネージド型のエンタープライズデータウェアハウスです。このサービスは、大規模なデータセットに対してSQLクエリを高速に実行できるよう設計されており、ビッグデータ分析やデータ駆動型の意思決定を支援します。
より詳しい内容は、別記事で紹介しております。BigQueryの特徴や詳細を知りたい人は、ぜひそちらをご覧ください。
https://docs.google.com/document/d/18GBSd85q-OPnbOLDdn3d6UeSwAcLxg3X3Zf4vRZm3ns/edit
▶︎ BigQueryの利用料金
BigQueryの利用料金は主に「ストレージコスト」「クエリ実行コスト」「データ転送コスト」の3つのコストから発生します。これらの料金は利用状況によって変動し、Google Cloudの価格政策が変更される可能性もあるため、最新の情報はGoogle Cloudの公式ウェブサイトで確認してください。
▶︎ 総コストの計算例
- ストレージコスト(500GBのアクティブストレージ): 約 $10 〜 $20 / 月
- クエリ実行コスト(10TBのデータ処理): $50 / 月
したがって、この例では総コストは約 $60 から $70 / 月となります。
▶︎ 詳しい料金が知りたい場合
当社ではBigQueryの導入支援を行っております。より詳しいコスト感を知りたい場合は、是非当社までお問い合わせください。
GA4とは?
BigQueryと比べるとご存じの人も多いと思いますが、GA4についてもおさらいしましょう。
Google Analytics 4(GA4)は、Googleによって提供される最新のウェブサイトおよびアプリの分析ツールです。Universal Analytics(UA)の後継として開発されたこの解析ツールは、2023年のUA→GA4一斉切替の際に、若干の物議を起こしたのも記憶に新しいです。
▶︎ GA4の利用料金
Google Analytics 4(GA4)は、基本的な利用に関しては無料で提供されています。これにより、ウェブサイトやアプリのトラフィック分析、ユーザー行動の追跡、コンバージョンの測定など、多くの分析機能をコストなしで利用できます。
▶︎ GA4とBigQueryの連携のメリット
Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携は、データ分析とビジネスインテリジェンスの能力を大幅に向上させることができます。その結果、データドリブンな意思決定を支援し、ビジネス成長を加速させられることでしょう。
以上が連携するメリットの概要となりますが、より具体的にメリットを挙げていくと以下の通りとなります。
▶︎ 詳細なデータアクセス
GA4 から BigQuery へデータを直接エクスポートすることで、収集されたデータの全体像を詳細に分析することが可能になります。これにより、
- ユーザー行動
- コンバージョンパス
- サイト内のインタラクションパターン
など、深いレベルでの洞察が得られます。
▶︎ カスタマイズされたレポートとダッシュボード
BigQuery を利用することで、GA4 のデフォルトレポートでは対応できない複雑なクエリを実行し、ビジネスニーズに合わせたカスタマイズレポートやダッシュボードを作成することができます。これにより、より具体的な分析ニーズに応えることが可能になります。
▶︎ 大規模データセットの高速処理
BigQuery は大規模なデータセットを高速に処理する能力を持っています。GA4 からの大量のデータも、BigQuery を使えば迅速に分析することができます。これは、特に大規模なウェブサイトやアプリを運営している企業にとって重要です。
▶︎ データ統合と連携
BigQuery は他のデータソースやツールとの統合が容易であるため、GA4 のデータをCRMシステム、販売データ、その他のマーケティングデータと組み合わせて分析することができます。これにより、顧客行動の全体的な理解や、マーケティング施策の効果測定がより精密に行えます。
▶︎ 機械学習と予測分析
BigQuery は Google Cloud の機械学習サービスと連携できるため、GA4 のデータを利用してユーザー行動の予測モデルを作成したり、コンバージョンの可能性が高い顧客セグメントを特定するなど、高度な分析が可能になります。
▶︎ データのプライバシーとセキュリティ
BigQuery は Google Cloud Platform のセキュリティ基準を満たしており、データの安全性とプライバシーを確保しながら分析を行うことができます。これにより、GDPRやCCPAなどのプライバシー規制に準拠しながらデータ分析を進めることが可能です。
GA4とBigQueryの連携方法
それでは、上記メリットを享受するためにも、Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携方法を見ていきましょう。
▶︎ Google Cloudプロジェクトの準備
- まだ持っていない場合、Google Cloud Platform (GCP) で新しいプロジェクトを作成します。
- BigQueryを使用するためのプロジェクトに対して、適切な権限があることを確認してください。
▶︎ BigQueryエクスポートの有効化
- GA4プロパティにログインし、「管理」セクションにアクセスします。
- 「プロパティ」列で、「BigQueryリンク」を選択します。
- 「リンクを作成」ボタンをクリックし、使用するGoogle Cloudプロジェクトを選択します。
- 連携するデータセットのエクスポート頻度(毎日またはリアルタイム)を選択します。
- リンクの設定を完了し、保存します。
▶︎ BigQueryのセットアップ
- BigQueryコンソールにアクセスし、GA4からエクスポートされるデータが保存されるデータセットを確認します。
- 必要に応じて、データの保存期間やアクセス権限を設定します。
▶︎ データの確認と分析
- BigQueryコンソールで、エクスポートされたデータをクエリして分析を開始します。
- SQLを使用して、カスタムレポートや分析を作成します。
▶︎ 追加設定と最適化
- 必要に応じて、BigQueryと連携する他のツール(例:Google Data Studio、Lookerなど)を設定して、データの視覚化やレポート作成を行います。
- データのエクスポートコストを管理するために、BigQueryのクエリ最適化のベストプラクティスを適用します。
GA4とBigQueryの連携の注意点
Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携は非常に強力なツールですが、設定と使用にあたってはいくつかの注意点があります。これらの点に注意を払うことで、データの整合性を保ち、予期せぬコストを避け、プライバシーに関する規制を遵守することができます。
以下より具体的な注意点を見ていきましょう。
▶︎ コスト管理
BigQueryの利用料金は、ストレージ使用量とクエリの実行量に基づいています。大量のデータや複雑なクエリを頻繁に実行すると、予想以上に高額な料金が発生する可能性があります。料金の予測と管理には、BigQueryのコストコントロール機能を活用し、予算アラートを設定することが重要です。
▶︎ データのプライバシーと規制遵守
GA4とBigQueryの連携では、ユーザーから収集したデータがクラウドに保存されます。GDPRやCCPAなど、データ保護に関する法律や規制の遵守が必要です。ユーザーの同意管理、データの匿名化、データ保持ポリシーの設定など、適切なプライバシーメジャーを講じることが重要です。
▶︎ データ整合性と品質
正確な分析結果を得るためには、GA4からBigQueryに転送されるデータの整合性と品質を維持することが必須です。GA4の設定ミスや追跡コードの不適切な実装は、データの不整合や品質の低下を引き起こす可能性があります。定期的なデータの監査と検証を行い、データの正確性を確保してください。
▶︎ データアクセスとセキュリティ
BigQueryに保存されたデータへのアクセス権を適切に管理することが重要です。不要なアクセスを防ぐために、IAM (Identity and Access Management) ポリシーを適切に設定し、必要なユーザーやグループにのみアクセス権を付与してください。
▶︎ データの転送とエクスポート設定
GA4からBigQueryへのデータ転送は、リアルタイムまたは一日一回のバッチ処理で行われます。リアルタイムデータの必要性とコストを検討し、ビジネスのニーズに合わせた適切な転送設定を選択してください。
▶︎ 技術的なスキル要件
GA4とBigQueryを最大限に活用するには、SQLクエリ言語やデータモデリング、分析ツールの使用に関する技術的な知識が必要です。チーム内に適切なスキルセットを持つメンバーがいることを確認するか、必要に応じてトレーニングや外部の専門家の支援を検討してください。
GA4とBigQuery連携、スキーマについて
Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携によりエクスポートされるデータは、BigQuery内で特定のスキーマに従って格納されます。このスキーマは、GA4から収集されたデータの構造を定義し、データ分析時にどのような情報が利用可能であるかを理解するのに役立ちます。
▶︎ 主なスキーマの構成要素
- event_name: イベントの名前を示します(例: page_view, click)。
- event_date: イベントが発生した日付を示します(YYYYMMDD形式)。
- event_timestamp: イベントが発生した時刻のタイムスタンプ。
- event_params: イベントに関連するパラメータを含むネストされたフィールドの配列。例えば、ページのタイトルや、クリックされたボタンのIDなどの情報が含まれます。
- user_id: ユーザーを一意に識別するID。設定されている場合に含まれます。
- user_properties: ユーザーに関連する属性を含むネストされたフィールドの配列。例えば、ユーザーの言語設定や地域情報など。
- geo: ユーザーの地理的な位置情報を含むフィールド(国、都市、地域など)。
- device: ユーザーがイベントを発生させたデバイスに関する情報(ブランド、モデル、オペレーティングシステムなど)。
- traffic_source: ユーザーがサイトやアプリに到達するまでの経路に関する情報(参照元のURL、広告キャンペーン情報など)。
- app_info: アプリに関する情報、例えばアプリのバージョンや名前などが含まれます(アプリでのイベントの場合)。
▶︎ スキーマのカスタマイズ
GA4では、カスタムディメンションやカスタムメトリクスを設定することで、スキーマに新しいフィールドを追加することが可能です。これにより、ビジネスに特有のデータポイントを分析に組み込むことができます。
▶︎ スキーマの確認方法
BigQuery コンソールにアクセスし、GA4からエクスポートされたデータセットのテーブルを選択すると、スキーマを確認できます。また、Googleのドキュメントでも、GA4とBigQueryの連携に関するスキーマの詳細が提供されています。
GA4とBigQueryの連携は、大規模なデータセットを扱う際に、このような明確なスキーマを利用することで、効率的かつ効果的にデータ分析を進めることができます。スキーマの理解は、データを最大限に活用する上での重要なステップです。
GA4とBigQuery連携、ストリーミングについて
Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携には、データをリアルタイムでBigQueryにエクスポートする「ストリーミング」機能があります。この機能により、GA4から収集されたデータがほぼリアルタイムでBigQueryに送信され、即時のデータ分析やレポーティングが可能になります。ここでは、GA4とBigQueryのストリーミング連携について詳しく解説します。
▶︎ ストリーミングの特徴
- リアルタイムデータ: イベントが発生してから数分以内にBigQueryにデータが反映されます。これにより、ウェブサイトやアプリの最新のユーザー行動をほぼリアルタイムで分析することができます。
- 即時の意思決定: マーケティングキャンペーンのパフォーマンス分析や、ウェブサイトのトラフィック変動の追跡など、迅速なデータ分析が求められる場合に有効です。
- 高度なカスタマイズ: ストリーミングデータは、BigQueryで高度なカスタム分析や機械学習モデルのトレーニングに使用できます。カスタムクエリやビューを作成して、ビジネスに特有の洞察を抽出することが可能です。
▶︎ ストリーミングの設定方法
- BigQueryリンクの作成: GA4の管理画面から「BigQueryリンク」を選択し、「リンクを作成」ボタンをクリックします。使用するGoogle Cloudプロジェクトを選択し、データセットのリンクを設定します。
- ストリーミングの選択: データエクスポートのオプションとして「リアルタイム」を選択します。これにより、データがリアルタイムでBigQueryにエクスポートされるようになります。
- データセットとテーブルの確認: BigQueryのコンソールで設定したデータセットを開き、ストリーミングされるデータが反映されていることを確認します。データは「イベント」テーブルにストリーミングされます。
▶︎ 注意点
- コスト: BigQueryのストレージとクエリ実行にはコストが発生します。ストリーミングデータの量が多い場合、特にコストが高くなる可能性があります。コスト管理のために、Google Cloudの料金計算ツールを使用して予測を行い、適宜、データのサンプリングやクエリの最適化を検討してください。
- データの整合性: リアルタイムでデータがエクスポートされるため、小さな遅延が発生する可能性があります。また、イベントデータの順序が常に保証されるわけではありませんので、分析時にはこれらの点を考慮する必要があります。
GA4とBigQueryのストリーミング連携は、リアルタイムでのデータ分析を可能にする強力な機能です。ただし、適切な設定とコスト管理が必要です。これにより、ビジネスのリアルタイム分析と意思決定を効果的にサポートできます。
「GA4とBigQuery連携」よくある質問
次よりGA4とBigQueryの連携に対するよくある質問を紹介します。
▶︎ BigQueryでのカスタムディメンションの場所はどこ?
GA4からBigQueryへのデータエクスポートが有効になっている場合、カスタムディメンションはエクスポートされたデータセット内のイベントデータに含まれます。
▶︎ 参照元データの活用方法を教えてください
参照元データを活用することで、以下のような分析が可能になります:
- トラフィックソースの分析:どのトラフィックソースが最も訪問者を引き寄せているかを把握し、マーケティングの効果を評価します。
- キャンペーンパフォーマンス:特定のマーケティングキャンペーンがどの程度トラフィックを生成しているかを分析します。
- ユーザージャーニーの理解:訪問者がどのような経路をたどってサイトに到達したかを分析し、顧客体験を改善するための洞察を得ます。
▶︎ 連携時間を教えてください
Google Analytics 4 (GA4) と BigQuery の連携におけるデータのエクスポート時間は、設定したエクスポートの種類(バッチ処理またはリアルタイム)によって異なります。
- 日次エクスポート: GA4からBigQueryへのデータエクスポートは、通常、毎日一回行われます。このプロセスは、UTC時間を基準としており、前日のデータが翌日の早朝(UTC時間)にエクスポートされます。ただし、正確なエクスポート時間は変動する可能性があり、データが利用可能になるまでには24〜48時間かかる場合があります。
- リアルタイムエクスポート: リアルタイムでのデータエクスポートを設定した場合、イベントデータはGA4からBigQueryにほぼリアルタイムで送信されます。この場合、データの遅延は通常数分以内です。リアルタイムエクスポートにより、ほぼ即時にデータ分析やレポート作成が可能になりますが、この機能は主に大規模なビジネスやリアルタイムデータが重要な場合に限定されます。
総括:GA4とBigQuery連携について
GA4 と BigQuery の連携は、データドリブンな意思決定を支援し、ビジネス成長を加速させるための強力なツールです。より深いデータ洞察を得ることで、顧客体験の向上、マーケティング戦略の最適化、製品開発の効率化など、様々なビジネスアウトカムを達成できるでしょう。
ただ、一定の知見や経験がないと連携させるのに手間取るのも事実です。ここまでに紹介しました方法が少しでもお役に立てたなら幸いです。
また、当社ではGA4とBigQuery連携のサポートや、連携後の運用サポート・コンサルティングも提供しております。
少しでも気になるようでしたら、是非一度お問い合わせください。