顧客分析フレームワークや手法をカンタン解説!事例や必要な項目も紹介

顧客分析のフレームワークや手法に例など、これから顧客分析を始めたい人に向け、簡単に解説します。お客様を深く理解し、売上アップやマーケティング成功に繋げるためのヒントがきっとあるはず。ぜひ最後までご覧ください。

2025-08-14
Category:
顧客分析

「お客様にもっと喜んでもらいたい」「お店の売上をアップさせたい」

そうお考えではありませんか?その鍵を握るのが「顧客分析」です。

この記事では、「顧客分析」の基本から具体的な手法、成功事例までを分かりやすく解説します。お客様のことをもっと深く知るための第一歩を、ここから一緒に踏み出しましょう!

顧客分析とは?

顧客分析とは、一言でいえば「お客様のことをもっと深く知るための活動」です。

お客様が「誰で」「何を」「いつ、どこで、どのように買い」「なぜ買ってくれたのか」といった情報を集めて分析し、その背景にある気持ちやニーズを理解しようとする取り組み全般を指します。

なんとなくの勘や経験だけに頼るのではなく、データという事実に基づいてお客様を理解することで、「誰に、何を、どのようにアプローチすれば喜んでもらえるか」という、マーケティングの成功確率をぐっと高めるヒントが見つかります。

お客様に喜んでもらえれば、結果としてお店やサービスのファンになってくれ、売上アップにも繋がる。だからこそ、顧客分析はビジネスにとって非常に重要なのです。

顧客分析の手法

「お客様を知るのが大事なのはわかったけど、具体的にどうやるの?」と思いますよね。

ここでは、代表的な顧客分析の手法を4つご紹介します。どれも難しく考えず、「こんな見方があるんだな」という気持ちで読んでみてください。

RFM分析

RFM分析は、「優良顧客」を見つけ出すための代表的な手法です。以下の3つの指標の頭文字をとって「RFM分析」と呼ばれています。

  • Recency(最終購入日): 最近、いつ買ってくれたか
  • Frequency(購入頻度): どれくらいの頻度で買ってくれるか
  • Monetary(購入金額): どれくらいの金額を使ってくれるか

例えば、「最近買ってくれた、常連で、購入額も大きいお客様」は、最も大切にすべき優良顧客だと判断できます。逆に、「昔はよく買ってくれたけど、最近はご無沙汰…」というお客様には、もう一度お店を思い出してもらうためのアプローチが必要かもしれません。

このように顧客をグループ分けすることで、それぞれのお客様に合った対応が見えてきます。

デシル分析

デシル分析は、「売上への貢献度が高い顧客グループ」を知るための手法です。「デシル」とはラテン語で「10等分」を意味します。

やり方はシンプルで、全顧客の購入金額を高い順に並べ、それを10個のグループに均等に分けます。そして、各グループが全体の売上の何%を占めているかを計算します。

多くの場合、上位の1〜2グループ(全体の20%の顧客)が、売上全体の8割を占めている、といった結果が出ます。これにより、「どの顧客層を大切にすれば、効率的に売上を伸ばせるか」が明確になります。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、お客様を似た者同士のグループに分ける(セグメント化する)手法です。切り口は様々ですが、よく使われるのは以下のような項目です。

  • 地理的変数: 国、地域、市区町村、気候(例:関東在住、雪の多い地域)
  • 人口動態変数: 年齢、性別、家族構成、職業(例:20代女性、子育て中の主婦)
  • 心理的変数: ライフスタイル、価値観、性格(例:健康志向、アウトドアが好き)
  • 行動変数: 購入履歴、利用頻度、求めるメリット(例:安さを重視、新商品を必ずチェックする)

例えば、ひとくちに「お客様」と言っても、「平日の昼に来店するサラリーマン」と「休日に家族で来るファミリー層」では、求めるものが全く違います。このようにグループ分けをすることで、各層のニーズに合った商品やサービスを提供できるようになります。

バスケット分析

バスケット分析は、「この商品を買う人は、これも一緒に買うことが多い」という商品の組み合わせを見つけ出す手法です。お客様の買い物かご(バスケット)の中身を分析することから、この名前がついています。

有名な例に「おむつとビール」があります。あるスーパーでデータを分析したところ、おむつを買う父親が、ついでに自分のためのビールを買っていくことが多いと分かりました。この結果を基に、おむつ売り場の近くにビールを置いたところ、売上が伸びたそうです。

このように、意外な商品の組み合わせを見つけることで、お店のレイアウトを工夫したり、「合わせ買い」をおすすめしたりするヒントが得られます。

顧客分析のフレームワーク

手法が個別の分析テクニックだとすれば、フレームワークは分析をスムーズに進めるための「考え方の型」や「地図」のようなものです。

ここでは、初心者でも使いやすいフレームワークを3つご紹介します。

5W1H

5W1Hは、情報を整理するための基本的なフレームワークで、顧客分析にも非常に有効です。お客様の行動を以下の6つの要素で整理してみましょう。

  • When(いつ): 購入した日時、時間帯
  • Where(どこで): 店舗、ECサイト
  • Who(誰が): どんなお客様が
  • What(何を): どんな商品を
  • Why(なぜ): どんな理由・目的で
  • How(どのように): どんな買い方で(現金、カード、まとめ買いなど)

これらを整理するだけで、お客様の行動パターンが具体的に見えてきます。

STP分析

STP分析は、顧客分析の結果をマーケティング戦略に活かすためのフレームワークです。

  1. Segmentation(セグメンテーション): まず、市場や顧客を様々な切り口でグループ分けします。(これは前述のセグメンテーション分析と同じです)
  2. Targeting(ターゲティング): 次に、分けたグループの中から、自社が狙うべきターゲット層を決定します。
  3. Positioning(ポジショニング): 最後に、ターゲット層に対して、自社の商品やサービスをどのように魅力的に見せるか(立ち位置)を明確にします。

顧客分析で「誰に」を理解し、STP分析で「その人に、どうやってアプローチするか」を考える、という流れです。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、お客様が商品を認知し、興味を持ち、購入し、その後のファンになるまでの一連の体験を「旅(ジャーニー)」に見立てて可視化するフレームワークです。

横軸に「認知」「情報収集」「比較検討」「購入」「利用・共有」といった時間経過を、縦軸に「顧客の行動」「感情」「思考」「接点(タッチポイント)」などを書き込みます。

これを作成することで、お客様がそれぞれの段階で何を考え、何に困っているのかが分かり、どのタイミングで、どのようなサポートや情報提供をすれば良いのかが見えてきます。

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顧客分析に必要なツール

顧客分析は、実は身近なツールから始めることができます。ここでは、代表的なツールを3つのレベルに分けてご紹介します。

Excel(エクセル)

最も手軽で、多くの方が使ったことのあるツールがエクセルです。顧客リストや売上データを入力し、並べ替えやフィルタ機能を使うだけでも簡単な分析ができます。

グラフ機能を使えばデータを視覚的に表現できますし、少し慣れればピボットテーブルで、RFM分析やデシル分析を行うことも可能です。まずはExcelから始めてみるのがおすすめです。

BIツール

BIツールは「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、膨大なビジネスデータを分析し、可視化(見える化)するための専門ツールです。代表的なものに「Tableau(タブロー)」やGoogleの「Looker Studio」などがあります。ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、売上の推移や顧客構成などを分かりやすいグラフや地図で表現できるのが特徴です。

関連記事|BIツールおすすめ比較一覧!使い方や事業成長のための5つのステップも解説

CRM / MAツール

CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客情報を一元管理するためのツールです。MAは「Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)」の略で、マーケティング施策を自動化するためのツールです。

これらのツールには顧客分析機能が搭載されていることが多く、顧客データの管理から分析、そして分析結果に基づいたメール配信などのアプローチまでを、一気通貫で行えるのが最大のメリットです。

関連記事|MAツールおすすめ比較一覧!BtoCやBtoBにコスト面など分かりやすく紹介

顧客分析の例

では、実際に顧客分析を行うと、どんな良いことがあるのでしょうか?業界別の成功例を見て、具体的なイメージを膨らませてみましょう。

ECサイトの例

あるECサイトでは、RFM分析を実施し、特に購入額が大きい優良顧客グループを特定しました。

そのグループ限定で「いつもありがとうございます」というメッセージと共に特別なクーポンを送付した結果、顧客満足度が向上し、リピート購入率が大幅にアップしました。

また、バスケット分析で「Aのワンピースを買う人は、Bのカーディガンも一緒に見ている」という傾向を発見し、商品ページにおすすめとして表示したところ、客単価の上昇に繋がりました。

飲食店の例

あるカフェでは、顧客アンケートとPOSレジのデータを分析し、お客様を「平日の昼に来るビジネスパーソン層」と「休日の午後に来る学生・主婦層」にセグメンテーションしました。

ビジネスパーソン層にはスピーディーに提供できるランチセットを、学生・主婦層にはゆっくり楽しめるケーキセットや季節のドリンクを充実させた結果、それぞれの層からの支持が高まり、全体の売上が向上しました。

美容室の例

ある美容室では、顧客管理システムの予約履歴を分析しました。すると、「3ヶ月以上ご来店の無いお客様」が離反してしまう可能性が高いことが分かりました。

そこで、最後の来店から2ヶ月半が経ったお客様に、「髪の調子はいかがですか?そろそろメンテナンスの時期ですよ」という内容のハガキを送る施策を開始。その結果、何もしなかった時に比べて、お客様が再来店してくれる確率が2倍になりました。

顧客分析に必須の項目

最後に、顧客分析を始めるにあたって、どのようなデータを集めればよいのか、基本的な項目をご紹介します。まずは集めやすいデータからで構いません。これらの情報を組み合わせることで、顧客像がより鮮明になるでしょう。

顧客の基本情報(定量データ)

  • 年齢、性別、居住地、職業、家族構成など。

顧客の行動データ(定量データ)

  • 購買履歴: 購入日、購入金額、購入商品、購入頻度、来店(サイト訪問)頻度など。
  • Webサイト上の行動: 閲覧ページ、滞在時間、クリックした場所、流入経路(検索、広告など)など。

顧客の心理や意見(定性データ)

  • アンケートの回答、お客様の声、SNSの口コミ、コールセンターへの問い合わせ内容など。

【総括】顧客分析からマーケティングを成功させよう!

今回は顧客分析について、その基本から手法・事例までを解説しました。

顧客分析は、決して専門家だけが行う難しいものではありません。「お客様のことをもっと知りたい」という気持ちがスタート地点です。

お客様一人ひとりの顔を思い浮かべ、データからその声に耳を傾けることで、これまで気づかなかったたくさんのヒントが見つかるはずです。

顧客を深く理解すれば、一方的な売り込みではなく、本当にお客様に喜ばれる商品やサービスを提供できるようになります。それが、これからの時代に求められるマーケティングの姿であり、ビジネスを成功に導く一番の近道です。

まずは身近なエクセルやお客様アンケートから、あなたの会社の顧客分析を始めてみませんか?

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