BtoBマーケティングの手法一覧|成功事例や失敗事例にその改善策などを簡単解説

BtoBマーケティングの手法や始め方を徹底解説!オンライン・オフラインの具体的な施策を一覧で紹介します。また、成功事例や失敗事例、成果を出すための注意点までを網羅的にお届けしますので、企業向けのマーケティングを検討している人は、ぜひご覧ください。

「BtoBマーケティングって、どんな手法があるのだろう?」 

「専門用語が多くて、なんだか難しそう…」

企業のマーケティング担当者になったものの、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

この記事では、BtoBマーケティングの基本から、具体的な手法、成功・失敗事例まで、マーケティングに初めて触れる方にも分かりやすく解説します。BtoBマーケティングの全体像を理解し、自社で何から始めるべきかを掴みましょう。

BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングとは、企業(Business)が企業(Business)に対して商品やサービスを販売するために行うマーケティング活動全般を指します。

個人消費者を対象とするBtoC(Business to Consumer)マーケティングとは、対象顧客や購買プロセスが大きく異なるため、特有の考え方や手法が必要になります。

BtoCが個人の感情や流行に訴えかけることが多いのに対し、BtoBでは、製品の品質、価格の妥当性、導入後のサポート体制といった合理的な理由が購買の決め手となります。また、購入の意思決定に複数人が関わるため、検討期間が長くなる傾向にあります。

BtoBマーケティングの重要性について

現代において、BtoBマーケティングの重要性はますます高まっています。その最大の理由は、インターネットの普及により、顧客が自ら情報を収集して購買を検討するようになったからです。

かつては、営業担当者が顧客のもとへ足を運び、情報提供から商談までを一貫して行っていました。しかし今では、顧客は営業担当者に会う前に、Webサイトや比較サイト、SNSなどを通じて製品やサービスの情報を徹底的に調べています。

つまり、顧客が情報を探している段階で、自社の存在に気づいてもらい、有益な情報を提供できなければ、そもそも検討の土台にすら上がれない時代になったのです。BtoBマーケティングを通じて、顧客との接点を早期に持ち、信頼関係を築くことが、ビジネスを成功させる上で不可欠と言えるでしょう。

BtoBマーケティング施策一覧

BtoBマーケティングには、オンラインとオフラインで様々な施策が存在します。ここでは、代表的な施策とその特徴を一覧でご紹介します。

分類 施策名 特徴
オンライン コンテンツマーケティング ブログ記事や導入事例などで役立つ情報を提供し、将来の顧客を惹きつける。
オンライン SEO対策 Webサイトを検索結果の上位に表示させ、自社を知らない潜在顧客を集める。
オンライン Web広告 検索広告やSNS広告で、狙ったターゲット企業や担当者に直接アピールする。
オンライン マーケティングオートメーション メールの自動配信などで見込み客の関心度を高め、営業へ引き渡す準備をする。
オンライン ウェビナー オンライン上でセミナーを開催し、多くの見込み客に一度に情報提供できる。
オフライン 展示会・イベント 関連業界の企業や担当者が集まる場で、直接製品をPRし名刺交換を行う。
オフライン インサイドセールス 電話やWeb会議システムを使い、社内から効率的に見込み客へアプローチする。
オフライン プレスリリース 新製品情報などをメディアに発信し、社会的な信頼性や認知度を高める。

BtoBマーケティングは何から始めるべきなのか?

いざBtoBマーケティングを始めようと思っても、先ほどご紹介した通り手法が多すぎて、何から手をつけるべきか迷ってしまうことでしょう。ということで、ここでは初心者が取り組むべき手順を3つのステップでご紹介します。

ステップ1:ターゲットを明確にする

最初に、「誰に」製品やサービスを売りたいのかを具体的に決めます。どのような業界の、どんな役職の人に、どんな課題を解決してほしいのかを詳細に描きましょう。

ターゲットが明確になることで、その後の施策がブレなくなります。

ステップ2:顧客の購買プロセスを理解する

次に、ターゲットとなる顧客が製品を知り、興味を持ち、最終的に購入に至るまでの道のり(購買プロセス)を考えます。顧客が各段階でどのような情報を求め、どんな気持ちでいるのかを想像することが重要です。

ステップ3:プロセスに合わせた情報を提供する

最後に、顧客の購買プロセスに合わせて、適切なタイミングで適切な情報を提供できる施策を選びます。

例えば、まだ自社を知らない段階の顧客にはSEOやWeb広告で存在を知らせ、興味を持ってくれた顧客には詳しい資料やウェビナーで理解を深めてもらう、といった具合です。

まずは、始めやすいコンテンツマーケティング(ブログ記事の作成など)から着手する企業が多いです。

主要なBtoBマーケティング手法を深掘り

先ほど紹介した通りBtoBマーケティングには様々な手法がありますが、ここでは特に重要で、多くの企業が最初に取り組むべき3つのオンライン施策について、もう少し詳しく解説します。

まずはここから!コンテンツマーケティングの基本

コンテンツマーケティングとは、ブログ記事やお役立ち資料といった、顧客にとって価値のある情報(コンテンツ)を発信することで、自社を見つけてもらい、ファンになってもらう手法です。

なぜBtoBで特に有効なのでしょうか。それは、BtoBでは製品が高額で、導入の検討期間が長いからです。顧客はじっくりと情報収集を行い、「この会社は信頼できるか?」を見極めようとします。

専門性の高いコンテンツを発信し続けることで、「この分野のプロフェッショナルだ」という専門家としての信頼を勝ち取ることができるのです。

まずは、顧客が抱えるであろう悩みや疑問に答えるブログ記事の作成から始めるのがおすすめです。その他にも、より詳しい情報をまとめたホワイトペーパー(お役立ち資料)や、導入後の成功イメージが湧く導入事例なども非常に効果的です。

潜在顧客に届けるためのSEO対策

SEO対策(検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンで自社のWebサイトを上位に表示させるための取り組みです。どんなに素晴らしいコンテンツを作っても、それが必要な人に届かなければ意味がありません。SEO対策は、その「届ける」ための重要な手段です。

BtoBにおけるSEOのポイントは、顧客が課題を解決するために使うであろう言葉(キーワード)を予測することです。例えば、業務効率化のツールを探している担当者は、「業務効率化 ツール 比較」や「請求書作成 自動化」といったキーワードで検索するかもしれません。

このようなキーワードで自社のブログ記事やサービスページが上位に表示されれば、まさに今困っている、購買意欲の高い潜在顧客を自社のサイトに呼び込むことができます。

確度の高い見込み客にアプローチするWeb広告

Web広告は、費用をかけて特定のターゲットに情報を届けたい場合に非常に有効な手法です。SEO対策が効果を発揮するまでに時間がかかるのに対し、Web広告は比較的すぐに成果が出やすいのが特徴です。

代表的なものに、検索キーワードに連動して表示されるリスティング広告があります。これは、課題が明確で、解決策を探しているユーザーに直接アプローチできるため、BtoBと非常に相性が良いです。

また、企業の役職や業種などでターゲットを絞って配信できるFacebook広告や、ビジネスSNSであるLinkedIn広告もBtoBマーケティングでよく活用されます。自社のターゲットがどこにいるのかを考え、適切な広告媒体を選ぶことが成功の鍵となります。

BtoBマーケティングの成功事例

ここでは、BtoBマーケティングの具体的な成功事例を業種別にご紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、ヒントを探してみてください。

製造業の事例

ある部品メーカーは、専門的な技術情報を解説するブログ記事を継続的に発信しました。ニッチなキーワードでSEO対策を行った結果、課題を抱える企業の開発担当者が検索からブログに流入。技術的な信頼を得ることに成功し、これまで接点のなかった大手企業からの問い合わせを多数獲得しました。

IT・ソフトウェア業の事例

ある業務管理ソフトを提供する企業は、導入を検討している企業向けに、機能や料金を他社製品と比較できる詳細な資料をWebサイトで公開しました。資料をダウンロードした見込み客に対し、インサイドセールスが電話でフォローアップ。顧客の課題をヒアリングし、最適なプランを提案することで、スムーズな商談化と高い受注率を実現しました。

コンサルティング業の事例

ある経営コンサルティング会社は、特定の業界の経営課題をテーマにしたウェビナーを定期的に開催しました。業界の著名人をゲストに招くなどして集客力を高め、参加者アンケートから特に課題意識の高い見込み客を特定。個別の無料相談会へ誘導することで、質の高い案件を安定的に創出する仕組みを構築しました。

人材サービス業の事例

ある人材紹介サービス会社は、企業の採用担当者向けに「効果的な面接方法」や「採用トレンド」といったお役立ち情報をメールマガジンで配信しました。すぐに転職希望者を紹介するのではなく、まずは情報提供を通じて信頼関係を構築。採用ニーズが発生した際に、真っ先に相談してもらえる存在になることで、多くの契約を獲得しました。

BtoBマーケティングの失敗事例

成功事例から学ぶことも多いですが、失敗事例は同じ過ちを避けるための重要な教訓となります。ここでは、よくある失敗を3つご紹介します。

失敗例1:ターゲット設定が曖昧だった 

「誰にでも使ってもらえる製品」という考えで、ターゲットを絞らずにマーケティングを開始。結果として、誰の心にも響かない当たり障りのないメッセージしか発信できず、全く反響が得られませんでした。

【改善策】営業部門と協力し、過去の受注顧客の共通点(業種、企業規模、役職など)を分析して、具体的な顧客像(ペルソナ)を設定する。

失敗例2:いきなり売り込みすぎた

Webサイトにアクセスしてきたユーザーに対し、すぐに「お問い合わせはこちら」「資料請求」といったボタンばかりを提示。まだ製品への理解が深まっていない段階で売り込まれたユーザーは、警戒してサイトから離脱してしまいました。

【改善策】まずは「お役立ち資料のダウンロード」や「初心者向けセミナー」など、売り込み色の薄い情報提供から始め、顧客が自らの意思で次のステップに進めるような導線を設計する。

失敗例3:施策が単発で終わってしまった

一度展示会に出展したものの、そこで交換した名刺を放置してしまいました。継続的なフォローアップをしなかったため、せっかくの見込み客は他社に流れてしまい、高額な出展費用が無駄になりました。

【改善策】獲得した名刺情報に対し、「お礼メールを送る」「定期的にメールマガジンを配信する」といった、関係性を維持・強化するための計画(ナーチャリングプラン)を事前に立てておく。

BtoBマーケティングの注意点

これからBtoBマーケティングを始める方が、特に注意すべき点を2つお伝えします。

注意点1:短期的な成果を求めすぎない

BtoBは検討期間が長いため、施策を始めてから成果(受注)に繋がるまでには時間がかかります。数ヶ月で結果が出ないからといってすぐに諦めるのではなく、中長期的な視点で粘り強く取り組み続けることが大切です。

注意点2:営業部門との連携を密にする

マーケティング部門が集めた見込み客を、最終的に受注に繋げるのは営業部門です。どのような見込み客が欲しいのかを営業部門と事前にすり合わせ、引き渡した後の状況もフィードバックしてもらうなど、密な連携体制を築くことが成功の鍵です。

BtoBマーケティングで成果が出ない場合

「いろいろな手法を試しているのに、なかなか成果が出ない…」そんな時は、以下の3つのポイントを見直してみてください。

見直しポイント1:ターゲットやメッセージは適切か?

設定したターゲットは本当に正しかったでしょうか。そのターゲットに対し、製品の魅力が伝わるメッセージを発信できていたでしょうか。もう一度、顧客の視点に立って見直してみましょう。

見直しポイント2:各施策の目標は達成できているか?

最終的な受注に繋がっていなくても、途中の段階、例えば「Webサイトへのアクセス数」や「資料のダウンロード数」といった目標が達成できているかを確認します。どこで顧客が離脱しているのかを特定し、その部分を改善することが重要です。

見直しポイント3:顧客との関係性を築けているか?

一度接点を持った見込み客に対し、継続的に有益な情報を提供し、関係を温める「ナーチャリング」という視点が抜けていないかを確認しましょう。すぐに購入しない顧客も、将来の大切な顧客候補です。

総括

本記事では、BtoBマーケティングの基本から具体的な手法、成功・失敗事例までを解説しました。

BtoBマーケティングは、BtoCとは異なる特性を持ち、すぐに結果が出るものではありません。しかし、自社の顧客は誰なのかを真剣に考え、その顧客の課題解決に役立つ情報を提供し続けるという本質を理解し、粘り強く実践すれば、必ず成果に繋がります。

まずは、この記事で紹介した「何から始めるべきか?」のステップを参考に、自社に合った施策を一つでも始めてみてはいかがでしょうか。

Tags: