ECサイトを構築するには?

ECサイトを構築するには?手法や費用、事例などを解説!!

2022-04-06
Category:
EC

1.  ECサイトの種類の紹介

2. ECサイトの構築する際の判断基準

3. ECサイト構築に必要な費用と補助金制度

4. ECサイト構築を成功させるには

5. フルスクラッチは時代遅れなのか?

6.  ECパッケージおすすめ選

7. ECサイト構築まとめ

ECサイトの種類の紹介

ECサイトを構築する主な手法として、以下の6つがあります。

・モール型

・ASP

・クラウドサービス

・パッケージ

・オープンソース

・フルスクラッチ

自分の作りたいサイトに合った手法を選ぶことが肝心となります。それぞれの特徴とメリット、デメリットを紹介していきたいと思います。

モール型

モール型ECサイトとは1つの大きなショッピングモールのようなもので、そこに色々な業種の店舗が出店しています。

知名度のあるモールといえば、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショピングが該当します。

モール型に出店する利点は主に集客面と知名度が上げられます。

・モール自体の集客力があるので、お店にお客様を流し込みやすい。

・モールの知名度が高い場合、お客様の信頼を得やすい。

・何か困った事があった場合でもサポートが充実している

ECサイトを初めて立ち上げた場合、苦戦するのは集客部分です。しかし知名度のあるECモールに出店する事で、お客様が自店を訪れるきっかけは格段に上がります。

また、モール自体の知名度が高い分、信頼感の面で訪れたお客様も安心して買い物をする事ができるため売り上げを見込める可能性も上がりやすい面があります。

モール型に出店するデメリットは主に価格競争と顧客情報になります。

・出店料や、各種のロイヤリティを支払う必要がある。

・1ブランドとしてのショップブランディングが難しい。

・価格競争が起こりやすい。

・顧客情報が取れない

モール型ECに出店する事で得られるメリットは大きいですが、その分の支払いも発生します。出店する際に必要なテナント料や決済などの手数料です。

ブランドとしてのブランディングをおこなうにあたっては難しい部分があります。お客様は、楽天市場で買い物をしたと思うため、ショップ自体の名前は覚えてもらえない傾向が強いです。

さらに、ひとつのモールに同業他社の店舗が出店しているということで、価格競争が起こりやすい点もあります。

中でも1番のデメリットは、顧客情報が取れない事です。モール型ECの場合、顧客情報はモール側の所有物となるため、顧客情報を元にマーケティングをおこなうことが難しくなります。

顧客情報は貴重な資産となるため、顧客情報として持てない点は大きなデメリットになります。

モールに出店する際には、紹介した点を充分に検討した上で出店する方が良いでしょう。

ASP

ASPとはApplication Service Providerの略で、ネットワークを通じてアプリケーションを提供する事業者やサービスのことをいいます。

ASPはECサイトだけに特化したサービスではなく、販売管理や会計管理などの形態のサービスがあり、特徴としては業務に必要な機能を取捨選択できるということです。

ECサイト向けASPでは、カート機能や決済関連、配送などEC業務をおこなうにあたって最低限の機能を備えています。

ASPカートを使うメリットは主にコスト面や顧客情報に大きなアドバンテージがあります。

・モール型と比較すると初期費用が安く済む

・既に色々な機能が実装されているので短時間での導入が可能

・システムの運用保守やバージョンアップは提供会社がおこなう

・顧客情報を自社に残すことができる

初期費用や月額費用を無料で提供している無料ASPカートもあるため、導入時のコストがモール型ECサイトよりも抑えられます。

売り上げアップのために利用できる代表的な機能として、メールマガジンやクーポン機能、ポイント機能や広告出稿の際の連携機能、クレジット決済やAmazon Pay等の決済方法との連携機能など、多岐に渡って用意されていることが多く、本格的に売上向上を狙うには有料ASPのカートを利用する事で多くのメリットを得られます。

ASPカートを使うデメリットは主に追加カスタマイズの面があります。

・自社に合わせた個別のカスタマイズは不可

・自社の基幹システムや物流など外部システムとの連携が難しい

ASPカートでは基本的にあらかじめ用意された機能を使い運用をおこなうため、各社個別でのシステム開発ができません。

また、ASPは通常、自社開発システムとの連携機能は考慮されていないため、自社の基幹システムや物流システムを持っている場合はASPとの連携は難しい場合が多いです。

クラウドサービス

クラウド型ECとは、名前の通りクラウド環境でECサイトの構築から運用までが可能なサービスになります。ASPとは何が違うの?と思いますが、大きな違いとしては常に最新のシステム環境で各社固有のカスタマイズやシステム連携も可能ということです。

EC構築運用のシステムを自社で所有せずレンタルをすることで、サーバーやアプリの開発費用が不要になり、機能のバージョンアップや保守サービスも提供会社がおこなってくれるため、専門性の高いシステム部署などを作る社内リソースを割かなくとも済みます。

クラウド型を使うメリットは自由なカスタマイズ性と安定したシステム環境です。

・各社に合わせた自由なカスタマイズやシステム連携ができる

・提供会社がシステム開発をおこなうため、システムが古くならない

・繁忙期や突然のサクセス集中によるサーバーダウンが防げる

先に述べたASPカートでは難しい各社に合わせたカスタマイズやシステムとの連携もクラウド型サービスでは可能になります。

クラウド型のデメリットは保守管理の面やランニングコストが高い点

・ソースコードが開示されていないため自社で保守管理やソースコードの把握ができない

・ASPに比べコストがかかる

大きな点として挙げられるのは、やはりランニングコストが大きくかかる点です。月額数十万とかかる傾向のため、初めての出店を検討するなら避けた方がベターです。

パッケージ

クラウド型の中にも色々な種類があり、パッケージ型と呼ばれるものは、導入時にシステムがある程度パッケージ化された状態のものを指します。

とはいえカスタマイズができないわけではなく、自由度は高く企業の独自性を持たせることも可能です。

ただし、ASPと比較すると導入費用やランニングコストは非常に高くなるため自社の売り上げ規模を考える必要があります。

ECパッケージのメリットは中・大規模サイト向き

ECパッケージは、中・大規模サイトにとってバランスのいいサービスです。理由はカスタマイズの自由度の高さにあります。年商1億円以上の中・大規模サイトの多くがECパッケージを利用しています。そのためECパッケージには実績が蓄積されており、一般的に求められる機能は網羅されています。そのため、後に紹介するフルスクラッチほど時間や労力をかけずとも希望通りのサイトを作りやすい特徴があります。

ECパッケージのデメリットは中長期的なコストの高さになります。

ECパッケージは初期費用が高く、予算は最低でも数百万円からになります。また、システムが陳腐化しやすいという弱点もあり、定期的にサイトリニューアルしなくてはいけなくなります。

リニューアルには当然費用がかかりますから、ECパッケージを使い続けるには高いコストがかかります。

オープンソース

オープンソースは、インターネット上で公開されているという意味を持ち、ライセンス費用が掛からずにデザインやカスタマイズが自由にできます。

しかしオープンソースでカスタマイズが自由ということは、サーバーへのインストール、セキュリティ保守などを自社でおこなう必要があるため、技術力のある企業向きになります。

オープンソースのメリットは低コストでもカスタマイズの幅が広がる点があります、オープンソースには豊富なプラグインが揃っています。サーバーの立ち上げには費用がかかりますが、それさえできればあとはプログラミングで自由に構築が可能になります。社内にスキルのある人材がいれば、高いコストをかけずに多様なカスタマイズを叶えられます。

オープンソースのデメリットは社内負担の重さとセキュリティの弱さが挙げられます。オープンソースでECサイトを立ち上げるには、ある程度の高い技術力が求められます。また、サイトオープン後も万が一の際のトラブルシューティングは社内で賄わなくてはいけません。

加えて、注意したいのがセキュリティ面。公開されているソースを使用することは、セキュリティの弱い部分も外からわかりやすいということですので対策は必須です。

フルスクラッチ

フルスクラッチは一からECサイトを作るため、どんな要件も実現可能になっているので完全オリジナルの自社ECを作り上げることが可能になっています。

しかし、一からシステムを開発する大規模な構築になるので、もちろん費用面では最も高くなりますし開発期間も最も長くなります。

フルスクラッチのメリットは理想のECサイトを追求できる点があります。サイトを0からオリジナルで立ち上げるフルスクラッチでは、構築でとことんこだわりを追求できます。充分な技術力さえあれば、デザインも機能もすべてが自由。費用・労力・時間をかけた分だけ理想のEC

サイトに近づきます。

フルスクラッチのデメリットは巨額の費用・時間をかけなくてはいけない点があります。

すべての構築手法の中で、最も深い知識と高い技術力が求められるのがフルスクラッチです。相応の人材や費用を用意できる企業でなくてはフルスクラッチでのECサイト立ち上げは難しいでしょう。加えてシステムも陳腐化しやすいので、定期的なメンテナンスが必要となります。

ECサイトの構築する際の判断基準

使える予算や売上規模、カスタマイズの必要性でECサイト構築システムを選ぶ

「ASP」「クラウド」「オープンソース」「パッケージ」「フルスクラッチ」は、それぞれ初期投資や運用コスト、初期開発の有無、処理できるトラフィック、カスタマイズの自由度などが異なります。

ECサイト構築システムを選ぶ際は、開発予算や将来的な売上目標、取扱商品、実現したい機能などを整理した上で、ビジネスモデルや事業計画、社内の開発体制などを踏まえて比較検討していきます。

ECサイト構築システムを選ぶ際の判断基準

・システム投資に使える予算

・将来的に目指したい売上規模

・実現したい機能

・取扱商品

・ビジネスモデル

・社内の開発体制

前章であげた種類の中で、どのようなEC事業者に向いていて、構築すればいいかを解説していきます。

ASP:  初期投資を抑え、すぐにECサイトを始めたい企業向き

共通のECプラットフォームを複数のEC事業者がインターネット経由で利用する「ASP」は、導入費用が安く、ECサイトを立ち上げるまでの期間が短いのが特徴。その手軽さから、個人事業主や中小企業を中心に多くのEC事業者が利用しています。

メリット: 初期費用が安い

導入費用は数万円〜数十万円が一般的で、初期費用が無料のショピングカートもあります。また、デザインのテンプレートや決済システムがあらかじめ用意されているため、短い期間で導入できます。

デメリット: 機能やデザインに制限がある

原則としてカスタマイズを行えないため、実装されている機能しか使うことが出来ません。ECサイトのデザインにも制限があります。

また、セキュリティ対策やSEOの強さ、ページの表示速度など、システムに依存する部分については、利用企業側で対処することは難しいです。

クラウド: 初期投資を抑えつつ事業を大きく成長させたい企業向き

「クラウド」のECサイト構築システムは、ECの標準機能を備えたプラットフォームをインターネット経由(クラウド)で利用します。「ASP」と似ていますが「クラウド」は機能の拡張性が高いことや、同一シリーズの「パッケージ」へ移行できる製品もある点などが「ASP」と異なります。

メリット: 成長段階に合わせてパッケージに移行できる

初期費用が「パッケージ」よりも安く、機能の拡張は「ASP」よりも優れているのが特長です。標準機能の一部をカスタマイズできたり、最新バージョンに自動アップデートされる製品もあります。自社でサーバの運用管理を行う必要がないため、専門知識や専任を置く必要がなく、管理も楽です。

デメリット: カスタマイズに制限あり。機能拡張でコストが嵩むことも

パッケージやフルスクラッチのように、システムを自由にカスタマイズすることは出来ません。機能拡張を行うとコストが嵩んでしまい、想定外の費用が掛かってしまうこともあります。

オープンソース: 自由度は高いが技術力が必要。システム開発に自信がある企業向き

「オープンソース」とは、プログラムが公開されているソフトウェアのこと。カスタマイズの自由度が高く、システム利用料が掛からないといったメリットがある一方で、サイト構築やセキュリティ対策を自分たちで行う必要があるため、高い技術力が求められます。

メリット: 開発の自由度が高く、利用料が無料

プログラムが無料で公開されているため、システムそのものは無料で利用できます。カスタマイズも自由にできるほか、サードベンダーが開発したプラグインを利用することで、さまざまな機能を実装できます。

デメリット: 開発やセキュリティ対策に技術力が必要

サイト構築を自社で行うため、高い技術力が求められます。もし社内に技術者がいない場合、システム会社に開発を委託する必要があるため、サイト構築やメンテナンスの費用が発生してしまいます。

パッケージ: 年商1億円以上で、機能やカスタマイズにこだわりたい企業向き

「パッケージ」はECサイトに必要な標準機能を備えたシステム基盤を使い、企業ごとにカスタマイズしてECサイトを構築することができます。カスタマイズを前提としているため、ECサイトの機能やデザインにこだわりたい企業に向いています。

初期費用は高いため、EC事業で年商1億円以上が目安になります。ECサイトの売上がある程度まで拡大してからパッケージに乗り換えるケースも多いですが、EC事業を本気で大きく成長させたい企業は、EC事業を立ち上げる当初からパッケージを使う傾向にあります。

メリット: カスタマイズの自由度が高い

「パッケージ」のメリットは、カスタマイズの自由度が高いこと。決済や商品登録、CRM、販売促進といった標準機能をベースに、個別の機能を追加することで独自の売り方やサービスを実現できます。

デメリット: 初期投資が数百万円以上

カスタマイズを前提としているため、導入時の開発コストが数百万円から数千万円規模でかかります。EC事業の年商が1億円未満では費用対効果が合わないことが多いです。

フルスクラッチ: 年商100億円以上を目指す大手EC事業者向き

既存のソフトウェアを使わず、ECシステムをゼロから作る「フルスクラッチ」は、ECサイトの機能やサービスにこだわりたい企業や、独特な売り方をしたい企業に向いています。莫大な投資が必要なため、EC事業で年商100億円以上を目指すような大規模EC事業者に向いています。

メリット: 機能開発の自由度がもっとも高い

ECサイトをゼロから構築するため、EC事業者のビジネスに合わせた機能や理想のデザイン、独自の業務フローに合わせたフロント画面および管理画面を自由に構築することができます。基幹システムや実店舗との連携も可能です。

デメリット: 初期投資やシステム改修費用が高い

初期費用が最低でも数千万円かかります。ゼロからサイトを構築するため立ち上げまで時間がかかることも、デメリットとして挙げられます。また、ECサイトを立ち上げた後も、機能の拡充やシステム改修を行うたびに追加投資が必要になってきます。

ECサイト構築に必要な費用と補助金制度

これまで、ECサイトの構築方法や種類を紹介、解説してきました。

ここからは、ECサイト構築に必要な費用と補助金制度などについて紹介していきたいと思います。

構築費用には、初期費用・月額費用・デザイン費用・カスタマイズ費用、などが挙げられます。

・モール型 初期費用 低 継続費用 低

・自社型(ASP) 初期費用 低 継続費用 低〜中

・自社型(オープンソース) 初期費用 低 継続費用 低

・自社型(パッケージ) 初期費用 中 継続費用 中

・自社型(フルスクラッチ) 初期費用 高 継続費用 高

ECサイト構築に利用できる補助金制度

ECサイトの構築費用は、「国や自治体による補助金制度の対象」として一部補助してくれることがあります。

EC構築の主な補助金制度は、以下の種類があります。

・IT導入補助金制度(最大450万)

・事業再構築補助金(最大6000万円)

・小規模事業者持続化補助金(最大100万円)

この他にも、地域などの独自の補助金制度もあるみたいなので、ぜひ地域名を用いて検索してみてください。

ECサイト構築を成功させるには

ECサイトを構築して終わりというわけではありません。売上を上げることが本当の目的であると思います。

その目的を達成するために、一番の課題となるのが集客になります。

集客は、広告やSNS、SEOなどで中長期的に取り組み続ける必要があります。そのためには、中長期的な視点を持ったうえで、ECサイトを構築するにあたって重要事項を紹介します。

・売上アップや業務効率化の機能が十分であるか。

・金額ではなくコストパフォーマンスで考える。

・システムのカスタマイズ性や拡張性は十分であるか。

売上アップや業務効率化の機能が十分であるか

ECサイトを運営するには、フロント機能、バックオフィス機能の2つの機能が必要です。

バックオフィス機能で業務を効率化し、フロント機能を活用して売ることに専念できる状態が望ましいです。

業務を効率化できないか、実際に売上を伸ばせそうかなど、実際のオペレーションを想像しながら、必要な機能が十分に備わっているかを検討してみてください。

金額ではなくコストパフォーマンスで考える。

ECサイトを構築する時に、パッケージ型なら数百万以上、フルスクラッチ型なら数千万以上かかることはよくあります。金額だけをみると、コストを抑えやすいASPやオープンソースにメリットがあります。

しかし、目先の利益を追ってしまうと、機能やデザインなどに制限が生まれ、中長期的な収支ではマイナスになってしまう恐れがあります。

コスト単体ではなく、コストに対してどのくらいのリターンを見込めそうかという長期的な観点で考えることが重要だと思います。

システムのカスタマイズ性や拡張性は十分であるか

ECサイトを運営していると、新しく機能を追加したい、デザインを変更したいといった変更や修正がよく起こります。

移り変わりが激しい業界では、ユーザーの要望に応えるために日々改善をしなければなりません。事業が拡大したり、商品のラインナップが増えるなどして、カスタマイズが必要なこともあります。

状況に応じて、ECサイトは変化する必要があります。そのため、将来を見据えてカスタマイズ性や拡張性が充分か把握するのがいいでしょう。

フルスクラッチは時代遅れなのか?

フルスクラッチは、かつて中・大規模のECシステムの主流の開発方法でしたが、現在ではECパッケージが拡張性を急激に伸ばし、またクラウドECなどの新しい方式が生まれたため、費用対効果が悪くメリットが少なくなりました。

フルスクラッチのメリット

・デザインが自由。

・自社開発のフルスクラッチであれば、障害時に最も早く対応できる。

・どんな要件でも実現可能、自社に合ったECサイトが作れる。

・マーケティング部門にノウハウがあれば、IT部門と協業して売上を伸ばす高速PDCAが可能。

・どんなシステム連携もカスタマイズも可能。

ゼロからECサイトを作るフルスクラッチであるため、どんな要件でも実現が可能です。自由にカスタマイズもシステム連携も行うことができます。

しかし、ECパッケージやクラウドECが機能を拡張しており、フルスクラッチのメリットはそこではありません。

国内有数のECサイトのほとんどがフルスクラッチを採用しているのは、予算と開発部隊があるからという理由だけではありません。有名企業であるために、社内には優れたマーケターがおり、IT部門と協業し、高速PDCAを回し、売上を上げるための開発体制を作れる点になります。

具体的にはカート周りです。コンバージョンを増やすために最も手っ取り早い方法は、カート周りの改善を行うことですが、こういった改善はマーケティング部門とIT部門が同じ部門長に所属するなど、意思決定がしやすい体制が必要になります。

売上を積み重ねる改善ができることがフルスクラッチの最大のメリットです。しかし年商1000億円以上の企業のみが可能な手法であり、社内に優れたマーケターと、スキルの高い開発要員を集められる企業に限られます。

ですので、通常の中・大規模クラスの企業がフルスクラッチでPDCA体制を築くのは現実的には不可能です。それではシステムの陳腐化を含め、フルスクラッチのデメリットを解説します。

フルスクラッチのデメリット

・0から作るから、費用、開発期間が最もかかる

・システムが古くなる

・フルスクラッチをITベンダーに作らせると、システムが握られているため、他社に乗り換えずらい

・ECのノウハウがないITベンダーに作らせると、システムが握られているため、他社に乗り換えずらい

・フルスクラッチと同等のECサイトをパッケージやクラウドECでも実現できる

大きなデメリットはシステムが古くなることです。この点は、ECパッケージやオープンソースも同様であり、5年程度でECシステムをリニューアルする必要があります。

そしてフルスクラッチの大きなデメリットは、ある程度の規模のECサイトであれば、ECパッケージやクラウドECで実現できてしまうため、そもそも費用と期間が多大にかかるフルスクラッチ方式を選ぶ意味がないのです。

大手企業には、自社に開発部署があり、またシステム停止は致命的になるため、スピードの観点から人任せにはできず、自分等で全てを把握できるフルスクラッチが選定されます。

まとめると、フルスクラッチでのECサイトのメリットは高速PDCAによるシステムの改善とシステム緊急停止時の対応力の2点であり、これを自社まかなえる企業は少ないのが現状であり、中・大規模のECサイト構築においてはECパッケージやクラウドECが現実的な手法となります。

ECパッケージおすすめ

カスタマイズの幅が広く機能も充実しているECパッケージは、ある程度の規模を見込めるサイトの構築手法として人気です。

需要の多さに比例し、サービスを提供している企業も数多くあります。そのため、最初はどのECパッケージを採用すれば良いか迷う方も多いでしょう。

無償か有償か?まずは費用を比較

新たに事業を立ち上げる、もしくは大幅にリニューアルをする際、当然各段階で相応のコストがかかります。

できることなら、抑えられる費用は抑えたいところだと思います。ECパッケージでサイトを構築する際、なるべく安価にする方法はないのでしょうか?

実はECパッケージは、大きく無償のものと有償のものに分けられます。オープンソースと呼ばれるものは無償でダウンロードが可能で、有償のものは販売会社から買い取る形になります。

後者の予算感はまちまちではありますが、最低でもおおよそ500万円程度はかかると見込んでおいてよいでしょう。

有償のECパッケージはある程度高額なのです。それなら無料の方がいいと思われるかもしれません。たしかにオープンソースを選んだ方が、コストは格段に抑えられます。

ただし、社内にサイト構築に詳しい技術を持った人材がいない場合、あまりおすすめは出来ません。

なぜならオープンソースの場合、ダウンロード後のカスタマイズや、万が一不備が生じた場合の対応などをすべて社内で賄わなくてはならないためです。

その点有償のECパッケージであれば、カスタマイズやサポートを販売会社に任せられるケースが多いです。

システム会社の対応力、管理方法を確認しておく

当たり前のことですが、ECサイトは作って終わりではありません。

オープンさせた後に運用していく中で、社内でどの程度トラブルやメンテナンス事項に対応ができるのか、もしそれが賄えない場合は、システム会社から十分なサポートを受けられるかどうかはぜひ重要視すべきです。

ECパッケージおすすめ

EC-Orange

URL:  https://ec-orange.jp/

導入事例:  Tabio,  H.I.S,  ROYAL CANIN,  パリミキなど

導入実績960社以上のEC-Orangeの特徴は豊富な外部連携。ECとPOSの在庫データを連携できるので、ネットとリアル店舗でオムニチャネル化を推進したい企業におすすめのサービスです。

EC-Orangeはまた、オープンソースのEC-CUBEを基に構築されています。そのためサイト保守の内製化ができますが、同時にセキュリティ面などでリスクも伴います。

ecbeing

URL:  https://www.ecbeing.net/

導入事例:  ABC-MART,  JAL,  SHIPSなど

ECパッケージの中でNO.1のシェアを誇るのがecbeing。導入実績はなんと1300社以上で、さまざまな業種・業態で導入実績があります。

強みは開発部隊とマーケティング部隊による手厚いバックアップ体制。柔軟なカスタマイズ対応が可能で、サイト運営のコンサルティングまで任せられます。

ecbeingがおすすめなのは、中〜大規模の企業。スモールスタートを望む企業にはあまり適していないサービスです。

HUE

URL:  https://www.worksap.co.jp/services/

導入事例: コープデリ、ダスキンなど

HUEは大手企業向けのERPシステム「COMPSNY-EC」と連携したパッケージシステムです。ERPとは、Enterprise Resources Planningの略。

企業を構成する資源や要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を各部署に適切に分配し、友好的に活用する考え方のことで、一般に基幹系情報システムを指します。

HUEの導入でかなえられるのは複数業務のシステム一元化。業務プロセスを最適化し、効率アップに貢献します。最新の機能を無償で追加してくれる点もポイントが高いです。

ただしこちらも、機能面の充実したシステムの例にもれず費用が高くつきます。

また、そもそもCOMPANY-ECの導入を考えていない企業にはおすすめできません。

コマース21

URL:  https://www.commerce21.co.jp/

導入事例:  講談社、PAL CLOSET、トイザらスなど

コマース21の提供会社はECサイトの構築を専門としたベンダーです。年商100億を超えるサイトのシステム構築経験もあり、とにかくECサイトに関してのノウハウ・実績に富んでいる点が大きな強み。

機能の自由度も高く、大量なデータの取り扱いにも対応ができますが、その分費用は高め。ある程度の規模を見込んでおり、かつ資金力に恵まれた企業であればおすすめです。

ebisumart

URL:  https://www.ebisumart.com/

導入事例:  NTT西日本、YAMAHA、CASIOなど

ebisumartはカスタマイズが可能なクラウド型のECパッケージです。最大の特徴は、その最新性。クラウド型であるため、システムを常に最新状態に保てます。

週1回自動的にバージョンアップがおこなわれるため、利用者側でのシステム更新が必要なく、他のECパッケージでかかるようなシステム改修の費用がかかりません。

ただし、あくまでもクラウドシステムであるため、それ自体が会社的に使用できないという場合もあるでしょう。また、まだまだ事例数が多くない点も懸念事項かもしれません。

SI Web Shopping

URL:  https://products.sint.co.jp/siws

導入事例:  ピーチ・ジョン、UCC、とらのあななど

導入実績は1,100件以上、20年以上の歴史をもつECパッケージです。近年、小売業界のスタンダードとなりつつあるオムニチャネル化に必須である柔軟な連携性や、統合された顧客基盤などを実現します。

こちらのシステムは大規模サイト向け。費用も高額となるため、すでにある程度の基盤を持った大企業におすすめです。

ECサイト構築まとめ

改めて、本記事の主なポイントをまとめます。

・ECサイトの構築は、自社EC型・モール型の主に2種類

・自社EC型は、さらにASP・オープンソース・パッケージ・フルスクラッチに分けられる

・構築方法によって、費用感や構築の手順が異なる(補助金制度あり)

・構築前には、要件定義をしっかり詰めておくことが非常に重要

ECサイトを構築する際には、自社にとって最適な方法はなにかを明らかにしておく必要があります。

インターネットの成長とスマートフォンの普及により、消費者のECサイト活用はこれからも高まっていくでしょう。ECサイトの構築は企業価値を上げるために非常に有効な手段といえます。

ECサイト構築にお悩みの方の参考になれば幸いです。

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