カスタムオーディエンスとは?GoogleやFacebookなどでの設定方法や事例を解説
カスタムオーディエンスとは何か、そのメリットとデメリット、さまざまな種類と特徴、設定方法、活用事例について詳しく解説しています。さらに、カスタムオーディエンスが直面するプライバシー規制の変化と技術的な進化、そして今後の展望についても考察していますので、是非最後までご覧ください。
▼この記事でわかること
- カスタムオーディエンスの基本と利点
- 各プラットフォームでの設定方法
- カスタムオーディエンスの活用事例と失敗例
こちらは「カスタムオーディエンスを基本から押さえたい!」と思っている人のための解説記事となります。メリット・デメリット、各種プラットフォームの設定方法、そして成功事例・失敗事例などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
カスタムオーディエンスとは?
カスタムオーディエンスとは、特定の広告やマーケティングキャンペーンのターゲットとする顯定の顧客グループを指します。企業が持つ既存の顧客データベースや、ソーシャルメディアプラットフォーム、ウェブサイト訪問者のデータなどを利用して、特定の広告を表示する対象者をカスタマイズすることを指します。
▶︎ カスタムオーディエンスのメリット
- 高い関連性と効果: カスタムオーディエンスは特定の顧客層に基づいて作成されるため、広告の内容がそのオーディエンスの興味や需要に合致しやすく、反応率が高まります。
- ROIの向上: 広告のターゲットが精確になることで、広告費用に対するリターン(ROI)が向上します。不必要な広告表示を減らし、投資対効果を最大化することができます。
- 顧客関係の深化: 既存顧客を再ターゲットにすることで、顧客との関係を強化し、リピート購入やロイヤリティを促進することができます。
▶︎ カスタムオーディエンスのデメリット
- プライバシーと規制の問題: 顧客データの使用にはプライバシー保護の観点から厳しい規制があり、これを遵守しないと法的なリスクや信頼失墜につながる可能性があります。
- データの正確性と最新性: カスタムオーディエンスを効果的に活用するためには、顧客データが最新で正確である必要があります。古いまたは不正確なデータを使用すると、マーケティング効果が著しく低下することがあります。
- リソースの必要性: カスタムオーディエンスを正確にセグメント化し、効果的に運用するためには、適切な技術ツールと専門知識が必要です。中小企業にとっては、これが大きな障壁となることがあります。
カスタムオーディエンスは、その効果的な活用が可能であれば、マーケティングの精度と効率を大幅に向上させる強力なツールとなりますが、運用には注意と適切なデータ管理が求められます。
▶︎ カスタムオーディエンスの種類と特徴
カスタムオーディエンスは、マーケティングの効果を高めるために様々な種類が存在します。主に次のような種類があります。
- 顧客リストベース: 既存の顧客リストやメールリストから直接ターゲットを組み立てる方法です。
- サイト訪問者ベース: ウェブサイトに訪れたユーザーを再ターゲティングする方法。これにはクッキー情報の活用が含まれます。
- アプリユーザーベース: モバイルアプリの使用者を対象にした広告ターゲティングです。
- 類似オーディエンス: 既存のカスタムオーディエンスと似た特徴を持つ新たな潜在顧客を見つけ出す手法です。
▶︎ カスタムアフィニティとカスタムインテントについて
カスタムアフィニティ: カスタムアフィニティオーディエンスは、広告主が特定の趣味や関心事に基づいてオーディエンスを形成することを可能にします。たとえば、アウトドア活動や特定のスポーツチームのファンなど、明確な関心を持つグループに焦点を当てることができます。
カスタムインテント: カスタムインテントオーディエンスは、オンラインで特定の製品やサービスを検索したり情報を集めたりしているユーザーをターゲットにすることを可能にします。これにより、購買意欲が高いユーザーに直接アプローチすることができ、コンバージョン率の向上が期待できます。
▶︎ カスタムオーディエンスへの統合後の変更点
カスタムオーディエンスは、2020年に上記の2つ「カスタムアフィニティ」と「カスタムインテント」が統合されて出来た機能となります。では、その統合によりどのような変更が行われたのでしょうか?詳しく見てみましょう。
- データ統合の強化: 異なるソースからの顧客データを一元管理することで、データの整合性が向上し、より正確なターゲティングが可能になります。
- マルチチャネルアプローチの促進: オンライン、オフライン、モバイルなど、複数のチャネルを跨いで一貫した広告メッセージを展開できるようになります。
- リアルタイム分析の導入: カスタムオーディエンスデータをリアルタイムで分析し、キャンペーンの効果を即座に評価して最適化することができます。
これらの変更により、企業は顧客のニーズに応じたより精密なマーケティング戦略を展開し、全体のビジネス成果の向上を目指すことが可能になります。
カスタムオーディエンスの設定方法
カスタムオーディエンスの設定方法はプラットフォームごとに異なりますが、ここではGoogle、Instagram、Facebook、Twitter、TikTokの主要なプラットフォームにおける設定手順について説明します。
▶︎ Googleの設定方法
- Google広告アカウントにログイン: Google Adsアカウントにアクセスします。
- オーディエンスマネージャに移動: 左側のナビゲーションメニューから「ツールと設定」を選び、「共有ライブラリ」セクションの「オーディエンスマネージャ」をクリックします。
- カスタムオーディエンスを作成: 「オーディエンス」タブで「カスタムオーディエンス」を選択し、「新規オーディエンス」をクリックして作成を開始します。
- オーディエンスデータを入力: ターゲットにしたいユーザーの詳細(興味・関心、使用しているキーワードなど)を入力します。
- オーディエンスを保存: 入力した情報を保存し、キャンペーンにオーディエンスを適用します。
▶︎ Instagramの設定方法
Instagramのカスタムオーディエンスは、Facebook広告マネージャを通じて設定する必要があります。InstagramはFacebookと統合されているため、Facebookの広告システムを使用します。
▶︎ Facebookの設定方法
- Facebook広告マネージャにアクセス: Facebook広告アカウントにログインします。
- オーディエンスを選択: メニューから「オーディエンス」を選択します。
- カスタムオーディエンスを作成: 「カスタムオーディエンス」を選び、「オーディエンスの作成」をクリックします。
- データソースを選択: 顧客リスト、ウェブサイトトラフィック、アプリアクティビティなど、データソースを選択します。
- 詳細情報を入力し保存: 必要な情報を入力してオーディエンスを保存し、キャンペーンに適用します。
▶︎ Twitterの設定方法
- Twitter広告アカウントにログイン: Twitter広告アカウントにアクセスします。
- オーディエンスマネージャに移動: ツールバーの「ツール」セクションから「オーディエンスマネージャ」を選択します。
- カスタムオーディエンスを作成: 「オーディエンスを作成」をクリックし、顧客リストなどのデータソースをアップロードします。
- オーディエンスの設定と保存: オーディエンスの詳細を設定し、保存します。
▶︎ TikTokの設定方法
- TikTok広告マネージャにログイン: TikTokの広告アカウントにアクセスします。
- アセットタブへ移動: メニューから「アセット」を選び、「オーディエンス」をクリックします。
- カスタムオーディエンスを作成: 「カスタムオーディエンス」を選択し、「作成」ボタンをクリックします。
- データソースを選択してアップロード*: 顧客リストをアップロードするなどして、オーディエンスを設定します。
これらの手順に従って各プラットフォームにおけるカスタムオーディエンスを設定することで、より効果的なターゲット広告キャンペーンを展開することが可能です。
カスタムオーディエンスの活用事例
以下より、カスタムオーディエンスの活用事例を成功事例・失敗事例ともに紹介していきます。
▶︎ 実際の業種別事例を基にしたカスタムオーディエンスの有効な使い方
1. 小売業
小売業者はカスタムオーディエンスを使用して、過去に購入歴のある顧客に対して特別なプロモーションや新商品の広告を展開することができます。例えば、特定の製品カテゴリを購入した顧客に対して、その製品関連のアクセサリーや補充品を提案するキャンペーンを実施することが効果的です。
2. 自動車業界
自動車ディーラーは、過去にショールームを訪問したが購入に至らなかった顧客や、リース契約が終了する顧客をターゲットにしたカスタムオーディエンスを作成し、新車のプロモーションやリース更新オプションを広告することが可能です。
3. 旅行業界
旅行業者はカスタムオーディエンスを利用して、過去に特定の目的地に旅行した顧客に向けて、類似の新しい旅行プランや特別オファーを提供することが効果的です。この方法でリピートカスタマーを増やすことができます。
4. B2B業界
B2B企業は、特定の業界や役職にいる人々を対象にカスタムオーディエンスを作成し、業界特有のソリューションや製品を提案するウェビナーやホワイトペーパーのダウンロードを促進する広告を行うことができます。
▶︎ カスタムオーディエンスの失敗事例
データの不正確性
ある企業が古い顧客データベースを使用してカスタムオーディエンスを設定した場合、データが現状と合致しないため、キャンペーンの反応率が非常に低くなる可能性があります。これにより広告予算の浪費が生じます。
プライバシー問題の無視
別の企業が顧客の同意を得ずに個人データを使用してカスタムオーディエンスを作成した場合、データ保護規則違反に問われる可能性があります。これは法的な問題だけでなく、企業の信用失墜にもつながりかねません。
ターゲティングの誤り
企業が広告のメッセージやプロモーションの内容がカスタムオーディエンスの興味やニーズと一致していない場合、キャンペーンは効果を発揮しません。例えば、若年層をターゲットにした商品を高齢者向けカスタムオーディエンスに誤って配信してしまうといったケースです。
これらの事例から、カスタムオーディエンスを活用する際は、データの正確性を保証し、適切な顧客の同意を得ること、そしてオーディエンスのニーズに合っ
▶︎ 成功するカスタムオーディエンスのキャンペーン設計について
カスタムオーディエンスを成功させるためのキャンペーン設計には、以下の要素が重要です。
- 明確な目標の設定: キャンペーンの目標を明確に定義し、それに基づいてターゲットオーディエンスを設定します。例えば、リードの獲得、ブランド認知度の向上、特定の商品の販売促進など、具体的な目標を持つことが重要です。
- データ品質の確保: カスタムオーディエンスを構築する際には、使用するデータが最新で正確であることが不可欠です。古いデータや不正確なデータはキャンペーンの効果を著しく低下させる原因となります。
- セグメンテーションの洗練: オーディエンスをさらに細かくセグメント化することで、メッセージのパーソナライゼーションが可能になり、より関連性の高い広告を配信することができます。顧客の興味・関心、過去の購買行動、地理的位置などに基づいてオーディエンスを細分化します。
- 適切な広告コンテンツの作成: オーディエンスの特性を理解し、それに適したクリエイティブ(ビジュアルとコピー)を使用します。パーソナライズされたメッセージはユーザーの関心を引き、エンゲージメントを高めることができます。
- テストと最適化: A/Bテストを利用して異なる広告バリエーションを試し、最も効果的なものを見つけ出します。また、キャンペーンの進行中に得られるデータを分析し、継続的に最適化を行っていくことが重要です。
- 行動ベースのターゲティング: 顧客のウェブサイト訪問パターンや購入履歴など、具体的な行動に基づいてオーディエンスをターゲットにする方法です。このアプローチにより、興味や購入意欲が高い顧客に焦点を当てることができます。
- リアルタイムデータの活用: リアルタイムデータを活用してターゲットオーディエンスのニーズや行動をリアルタイムで把握し、タイムリーな広告を展開することで、関連性と反応率を高めることができます。
- クロスチャネル戦略の採用: 異なるプラットフォームやデバイス間で一貫したメッセージングを行い、ユーザー体験を向上させます。これにより、顧客エンゲージメントを最大化し、複数のタッチポイントで影響を与えることが可能になります。
これらのポイントを適切に活用することで、カスタムオーディエンスを使った広告キャンペーンの成功率を高められることでしょう。
カスタムオーディエンスについてのQ&A
その他、カスタムオーディエンスについて知っておきたい事項を、下記より紹介します。
▶︎ カスタムオーディエンスは廃止された?
カスタムオーディエンス自体が廃止されたわけではありませんが、プライバシー規制の厳格化に伴い、特定のプラットフォームではカスタムオーディエンスの使用方法や機能が変更されています。例えば、欧州連合(EU)では一般データ保護規則(GDPR)が施行され、ユーザーの個人データの使用に関してより厳しい同意が必要となりました。これにより、企業はカスタムオーディエンスを構築する際に、ユーザーのプライバシーに対する透明性を高める必要があります。
また、Googleは、サードパーティCookieの廃止を発表し、2024年に完全にChromeブラウザから排除する計画です。これにより、従来の方法でカスタムオーディエンスをターゲティングする手法に変更が必要となります。しかし、Google自身が新しいプライバシーを尊重した広告技術の開発を進めているため、カスタムオーディエンスの概念は消えることなく、形を変えて存在し続けることが予想されます。
▶︎ カスタムオーディエンスの今後の展望
今後のカスタムオーディエンスの展開を考える上で、以下の4点が鍵になってくると考えます。それぞれ押さえておきましょう。
- プライバシーファーストのアプローチ: プライバシー規制の強化により、企業はユーザーのデータ保護を最優先事項として扱う必要があります。これに伴い、ユーザーの明示的な同意を基にしたデータ収集が主流となるでしょう。
- 新技術の採用: サードパーティCookieの廃止に伴い、ファーストパーティデータの重要性が増します。企業は自社のウェブサイトやアプリを通じて直接収集したデータを基に、カスタムオーディエンスを構築することが一般的になるでしょう。
- 人工知能(AI)の利用増加: AI技術の進化により、より精度の高い顧客セグメントが可能になります。AIは顧客の行動パターンや嗜好を分析し、それに基づいて個別化された広告コンテンツを提供することができるようになるでしょう。
- オムニチャネル戦略の展開: オムニチャネル戦略を通じて、さまざまな接点で一貫した顧客体験を提供することが重要となります。オフラインとオンラインのデータを統合し、一元的な顧客ビューを持つことで、より効果的なカスタムオーディエンス戦略を展開できるようになるでしょう。
これらの展望を踏まえると、カスタムオーディエンスは廃止されることなく、むしろ新しい形で発展を続け、マーケティング戦略において中核的な役割を果たし続けると考えられます。企業はこれらの変化に適応し、新たな規制や技術の進展に合わせた戦略を立てることが重要です。
総括
ここまでの内容を総括します。カスタムオーディエンスを活用することで、企業はより精確なターゲティングとパーソナライズされたマーケティング戦略を展開し、顧客との関係を深めることが可能です。
また、プライバシー規制の強化と技術革新の流れの中で進化を続けている点にも注目すべきで、今後も変化に柔軟に対応し、新しい方法を取り入れながら、効果的な広告キャンペーンを実施していくことが求められます。
尚、当社ではカスタムオーディエンスを含む幅広いデジタルマーケティング支援を行っております。これからWebの販促に力を入れていこうとお考えでしたら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。実施のためのアカウント設定だけでなく、目標設定や開始後の運用など伴走させていただきます。