VBBとは?Google広告やYahooでの設定方法と運用課題の解決策について
VBB(Value Based Bidding)について説明します。GoogleやYahooでの設定方法や、VBB運用中によく発生する課題とその解決策などもお伝えします。実際の売上に寄与する広告運用をしたいと思っている人は、是非ご覧ください。
▼この記事でわかること
- VBBについて
- VBB運用の設定方法
- VBB運用でよくある課題とその解決策
「これから広告を出稿したい」「運用中の広告を改善させたい」「特に売上に直結するであろうVBB運用で広告出稿を成功させたい」と思っている人は、是非最後までご覧ください。
VBB(価値に基づく入札戦略)とは?
VBB(Value Based Bidding、価値に基づく入札戦略)は、広告の最終的な目的である売上にフォーカスした自動入札戦略です。VBBには2つの入札戦略があります。
- 目標広告費用対効果(tROAS)
- コンバージョン値の最大化(CV値最大化)
以下よりそれぞれを詳しく見ていきましょう。
目標広告費用対効果(tROAS)
tROAS(Target Return on Ad Spend)は、オンライン広告キャンペーンにおける目標広告収益率を設定する戦略の一つです。この指標は、広告にかけた金額に対してどれだけの収益を得たいかを表す比率で、キャンペーンのパフォーマンス測定や予算配分の最適化に使用されます。
tROASを利用することで、広告主は広告支出に対する期待収益を明確に設定し、その目標を達成するためにキャンペーンを自動的に調整させることができます。例えば、tROASを200%と設定した場合、1万円の広告支出で2万円の収益を目指すことになります。
▶︎ tROASの計算方法
tROASは以下の式で計算されます。
tROAS=期待される収益 / 広告支出
この比率を基に、広告の入札価格や予算配分を自動調整するアルゴリズムが動作します。広告キャンペーンがこの目標を下回るパフォーマンスの場合、システムは入札価格を下げたり、他のパフォーマンスが良いキャンペーンへ予算をシフトすることで、全体のtROASを目標に近づけようとします。
▶︎ tROASのメリット
- 収益性の高いキャンペーン運用: tROASを用いることで、投資に対するリターンを最大化するように広告キャンペーンを自動調整できます。
- 効率的な予算配分: 広告予算をより効果的に使うことができ、収益性の高いキャンペーンに予算を集中させることが可能です。
- パフォーマンスの最適化: 広告のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、目標収益率に基づいて自動的に最適化することで、全体の広告効果を高めることができます。
tROAS戦略を成功させるためには、適切な目標値の設定と、キャンペーンのパフォーマンスを定期的にレビューし、必要に応じて調整することが重要です。また、市場動向や消費者行動の変化にも柔軟に対応する必要があります。
コンバージョン値の最大化(CV値最大化)
コンバージョン値の最大化(Conversion Value Maximization、CV値最大化)は、オンライン広告の最適化戦略の一つで、特にGoogle Adsなどのプラットフォームでよく用いられます。この戦略の目的は、広告支出に対して得られるコンバージョン(目標とされる行動、例えば商品の購入やサービスの申し込みなど)の価値を最大化することです。ここでの「価値」とは、単にコンバージョンの数ではなく、そのコンバージョンによって生み出される収益や利益のことを指します。
▶︎ CV値最大化の仕組み
この戦略では、AIや機械学習アルゴリズムが広告の配信を自動で最適化し、コンバージョンに至る可能性が高いユーザーや、高い価値を持つコンバージョンに焦点を当てて広告を配信します。広告主はコンバージョンに対する異なる「価値」を設定することができ、システムはこれらの価値を基に、最も効果的な入札戦略を自動で行います。
▶︎ CV値最大化の設定
- コンバージョンアクションの設定: 広告キャンペーンで追跡するコンバージョンの種類を定義します(例: 商品の購入、メールの登録、問い合わせなど)。
- 価値の割り当て: 各コンバージョンアクションに異なる価値(収益)を割り当てます。例えば、高価な商品の購入はより高い価値を、メール登録はより低い価値を割り当てることができます。
- キャンペーンの最適化目標の選択: Google Adsなどのプラットフォームで「コンバージョン値の最大化」をキャンペーンの目標として選択します。
▶︎ CV値最大化のメリット
- 収益性の向上: 高い収益をもたらすコンバージョンに焦点を当てることで、広告予算の収益性を高めることができます。
- 自動最適化: 機械学習アルゴリズムがユーザーの行動や市場の動向を分析し、最適な広告配信戦略を自動で実行します。
- 複数のコンバージョンアクションの管理: 異なる価値を持つ複数のコンバージョンアクションを一つのキャンペーンで管理し、全体の収益性を最大化することが可能です。
CV値最大化戦略は、特に多様な商品やサービスを提供し、それぞれのコンバージョンに異なる収益性があるビジネスに適しています。適切な設定と定期的な分析・調整を通じて、広告予算の効率と効果を大きく向上させることが可能です。
VBBの運用
VBBの運用方法について、GoogleとYahooそれぞれのケースで詳しく見てみましょう。
▶︎ Google広告の場合
Google広告において、具体的に「VBB(価値に基づく入札戦略)」という用語は標準的な機能や設定名としては存在しません。しかし、Google広告で価値に基づいて効果的に広告を運用するためには、「コンバージョン値の最大化」を目指す入札戦略を利用することがこれに相当します。以下に、Google広告でのコンバージョン値の最大化入札戦略の設定方法を説明します。
▫︎ ステップ 1: コンバージョンの設定
- Google広告アカウントにログインします。
- 「ツールと設定」から「測定」セクションの「コンバージョン」を選択します。
- コンバージョンアクションを追加または編集し、各コンバージョンに適切な価値(例えば、購入額や潜在顧客の価値)を割り当てます。
▫︎ ステップ 2: キャンペーンの設定
- 「キャンペーン」セクションに移動し、「+ 新しいキャンペーン」をクリックして新しいキャンペーンを作成するか、既存のキャンペーンを編集します。
- キャンペーンの目的を選択します。コンバージョン値の最大化を目指す場合、「販売」、「リード獲得」など、コンバージョンに焦点を当てた目的が適切です。
- キャンペーンタイプを選択し、必要な設定を行います。
▫︎ ステップ 3: 入札戦略の選択
- 「入札戦略」セクションで、「コンバージョン値の最大化」を選択します。これにより、Googleのアルゴリズムが自動で入札額を調整し、設定したコンバージョン価値に基づいてROIを最大化します。
- 目標ROAS(広告支出対効果)を設定するオプションがある場合は、達成したい目標ROASを入力します。これはオプショナルですが、特定のROIを目指す場合に有効です。
▫︎ ステップ 4: キャンペーンの最適化と調整
- キャンペーンが稼働したら、定期的にパフォーマンスをチェックし、コンバージョン価値、予算、入札戦略などの調整を行います。
- 高価値のコンバージョンを増やすために、ターゲティング、広告の文言、ランディングページの最適化など、様々な要素を試験的に改善していきます。
▶︎ Yahooの場合
Google広告と同様に、Yahoo広告もコンバージョンを重視する広告キャンペーンの最適化をサポートしていますが、具体的に「VBB」という用語を使用しているわけではありません。しかし、コンバージョンを最大化するための戦略や、特定の目標コンバージョン価値に基づいて入札を最適化するアプローチを採用することは可能です。
Yahoo広告での一般的なコンバージョン重視戦略の設定方法は以下のとおりです。
▫︎ ステップ 1: コンバージョンの設定
- コンバージョン追跡を設定する: 最初に、Yahoo広告のコンバージョン追跡機能を設定し、追跡したいコンバージョン(例:商品の購入、お問い合わせの送信など)を定義します。これには、ウェブサイトに特定の追跡コードを設置する作業が含まれます。
▫︎ ステップ 2: キャンペーンの設定
- 新しいキャンペーンを作成する: Yahoo広告の管理画面から「新しいキャンペーン」を作成し、キャンペーンの目的として「コンバージョンを増やす」などの目標を選択します。
- キャンペーン設定を行う: キャンペーンのターゲット、予算、広告のスケジュールなどの基本的な設定を行います。
▫︎ ステップ 3: 入札戦略の選択
- 入札戦略を選択する: コンバージョンを最大化するために、Yahoo広告が提供する入札戦略の中から適切なものを選択します。これには、コンバージョンに基づく自動入札戦略が含まれることがあります。
▫︎ ステップ 4: キャンペーンの最適化
- キャンペーンの監視と分析: キャンペーンが開始されたら、そのパフォーマンスを定期的に監視し、コンバージョン数やコンバージョン率などの重要な指標をチェックします。
- キャンペーンの調整: パフォーマンスデータに基づき、キャンペーンのターゲティング、入札戦略、広告コピーなどを最適化し、コンバージョンの価値を最大化します。
VBBの運用課題
VBBを運用する際の課題ですが、多岐にわたります。特に、目標ROAS(tROAS)キャンペーンにおいてCPC(Cost Per Click)が安くなりがちであり、それが原因でインプレッション数(IMP)が減少し、目標CPA(Cost Per Acquisition)比での広告効果を最大化することが難しくなるという課題があります。以下より詳しく見ていきましょう。
▶︎ 目標値設定の難しさ
- VBB戦略では、事前に目標ROASや目標CPAを設定する必要があります。しかし、市場の変動や競合の状況、季節性など外部環境の変化により、これらの目標値を適切に設定・維持することは困難です。
▶︎ 入札価格の調整
- tROASキャンペーンでは、特定のROASを達成するために自動入札が行われます。しかし、目標ROASを達成するためには、CPCを下げる傾向が生じ、結果的に入札が弱まり、露出機会が減少する可能性があります。
▶︎ インプレッション数の減少
- CPCが安くなると、広告が表示される頻度(インプレッション数)が減少します。これは、入札価格が競合他社よりも低い場合、広告の掲載順位が下がり、見えにくくなるためです。
▶︎ コンバージョンボリュームの問題
- tCPA比で見た場合、低いCPCはコスト効率が良いように思えますが、インプレッション数の減少により、十分なコンバージョンを獲得できないことが問題となります。結果として、キャンペーン全体のコンバージョン数が期待値に達しないことがあります。
▶︎ 課題への解決策
- 目標値の再評価: 定期的にキャンペーンのパフォーマンスを分析し、目標ROASやCPAを現状に合わせて調整する。
- 入札戦略の多様化: 全てのキャンペーンでtROASを使用するのではなく、目的に応じてCPCやCPM(Cost Per Thousand Impressions)など他の入札戦略も併用する。
- 広告の最適化: キーワード選定、広告文の改善、ランディングページの最適化などを通じて、クリック率(CTR)やコンバージョン率を向上させる。
- 市場動向の監視: 競合分析や市場動向を常にチェックし、変化に柔軟に対応する。
VBB戦略を運用する際は、これらの課題に対応するために、柔軟
な戦略調整と継続的な分析が重要です。また、広告のパフォーマンスを最大化するためには、入札戦略だけでなく、広告の質やターゲティングの精度も同時に改善していく必要があります。
抑えておきたい基礎用語
ここまでの内容を理解する上で抑えておきたい用語を、以下より簡単に説明します。
・ROASとは
ROAS(Return On Advertising Spend)は広告の費用対効果を測るための指標で、広告経由での売上と広告費をもとに算出します。
・コンバージョン値とは
コンバージョン値は、ビジネスの目的により異なる価値を持つコンバージョンを考慮に入れるための指標です。
まとめ
VBB(価値に基づく入札戦略)は、売上にフォーカスし、広告経由の収益最大化を目指す自動入札戦略です。主な戦略には、目標広告費用対効果(tROAS)とコンバージョン値の最大化があります。
運用では、コストが初期に跳ね上がる可能性や、tROASキャンペーンでのCPC低下によるインプレッション数の減少などの課題があります。これらに対応するためには、目標値の再評価、入札戦略の多様化、広告の最適化が重要となっていきます。
当社ではVBB運用において、多くの企業をサポートしております。運用開始のための設定や、運用中のアカウントの改善などもお役に立てかと存じます。気になった企業様は、是非お気軽にお問い合わせください。