AIデータ分析の事例やChatGPTを使ったやり方に無料ツールなど解説
AIデータ分析は難しそう?この記事では、AI分析の基礎からメリット、ビジネスでの活用事例、無料ツールの使い方まで、専門用語を使わずに初心者向けに徹底解説します。ChatGPTやExcelでの実践例も紹介。AIを味方にする最初の一歩を、ここから始めましょう。
「AIを使えば、なんだかすごい分析ができるらしい」そのような話を聞いたことはありませんか?
本記事では「AIデータ分析とは?」という基礎の基礎から、ビジネスに役立つ具体的な活用法まで、専門用語をなるべく使わずに分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
AIデータ分析のメリット
AIを活用したデータ分析は、これまで人間が行ってきた分析とは比べ物にならないほどのパワーを秘めています。それはまるで、経験豊富なベテラン社員の「勘」や「経験」を、何千人分も集めて一瞬で活用できるようなものです。
これまで何時間もかかっていた作業が数分で終わるだけでなく、人間では到底気づけないような、データに隠された複雑なパターンや未来の兆候まで見つけ出してくれます。
例えば、大量の売上データの中から「雨の日には、特定のパンと一緒にコーヒーを買う人が多い」といった、思いもよらない組み合わせを発見し、新しいキャンペーンのヒントを与えてくれます。これにより、私たちは面倒なデータ整理から解放され、分析結果をもとに「次の一手をどう打つか」という、より創造的で重要な仕事に集中できるようになるのです。
これが、AIデータ分析がもたらす最大のメリットと言えるでしょう。
AIデータ分析って、どんなことができるの?
AIを使ったデータ分析でできることは多岐にわたります。代表的なものをいくつかご紹介します。
需要予測
過去の販売実績や天気、イベント情報などから、将来の商品やサービスの売上を予測します。
顧客分析
顧客の購買履歴や行動パターンから、顧客をグループ分けしたり、個々のお客様に合ったおすすめ商品(レコメーション)を提示したりします。
異常検知
工場の機械やシステムのデータから、いつもと違う「異常な動き」を検知し、故障やトラブルを未然に防ぎます。
画像・音声認識
画像や動画に映っているモノや人を識別したり、音声データをテキストに変換したりします。
文章の分類・要約(自然言語処理)
アンケートの自由回答やSNSの口コミといった大量の文章データを、AIが自動でポジティブ・ネガティブな意見に分類したり、内容を要約したりします。
AIデータ分析ツール一覧
AIデータ分析を行うためのツールは数多く存在します。ここでは代表的なツールをいくつか表にまとめました。
無料で使えるAIデータ分析ツール
本格的なツールは高価なものも多いですが、まずは無料で試せるものから始めるのがおすすめです。ここでは、特に無料で始めやすいツールを2つ、詳しくご紹介します。
1. Google Looker Studio (旧: Googleデータポータル)
Googleアカウントさえあれば、誰でも無料で利用できる非常に強力なツールです。主な目的は、手元にあるデータを分かりやすいグラフや表に「可視化」すること。Excelのデータをアップロードしたり、Googleアナリティクスと連携させたりして、売上の推移やウェブサイトのアクセス状況などを、いつでも最新の状態で確認できるダッシュボード(管理画面)を作成できます。プログラミング知識は一切不要で、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で使えるため、AI分析の第一歩として最適です。
2. Google Colaboratory + Python
「少し本格的な分析に挑戦してみたいけれど、環境設定が難しそう」という方におすすめなのが、Google Colaboratoryです。これもGoogleアカウントがあれば無料で利用でき、Webブラウザ上でプログラミング言語「Python」を使ったデータ分析を実行できます。面倒な環境構築は一切不要。世界中のデータサイエンティストが利用するPythonの豊富なライブラリ(分析用の拡張機能)をすぐに使えるため、無料で高度な機械学習や統計分析を学ぶのに最適な環境です。
ChatGPTやGeminiも無料で使えるのでは?
「あれ? いま話題のChatGPTやGeminiが、無料で使えるツールに入っていないのはどうして?」と不思議に思った方もいるかもしれません。もちろん、これらのAIも無料で使える機能はありますが、今回あえてリストに入れなかったのには、ちゃんとした理由があるんです。
理由①:すごい分析機能は、実は「有料プラン」だから
一番の理由は、記事の中で紹介しているような、Excelファイルをアップロードしてグラフを作ったり、詳しい分析をしたりする本格的な機能は、基本的に月々の料金がかかる「有料プラン」で提供されているからです。今回のテーマは「"お金をかけずに"始められるツール」でしたので、まずはリストから外させていただきました。
理由②:まずは「データ分析の専門道具」に慣れてほしかったから
野球を始めるなら、まずはバットとグローブの使い方を覚えますよね。それと同じで、データ分析にも「見る・見せる」ための道具(Looker Studio)や、「料理する」ための道具(Colaboratory + Python)といった専門の道具があります。まずはこうした専門道具で「データ分析ってこういうものか!」という基本を掴んでいただくことが、上達への一番の近道だと考えました。
理由③:大事なデータを守るため
そしてもう一つ、AIに慣れないうちに、うっかり会社の秘密のデータやお客様の大事な情報をAIに入力してしまう…そんな事故を防ぎたいという想いもありました。まずはご自身のパソコンの中や、Googleのサービス内で完結する方法から始めてもらうのが安心だと考えた、一種の「親心」だと思っていただけると嬉しいです。
もちろん、ルールを守って正しく使えば、ChatGPTやGeminiは最強の分析パートナー!だからこそ、この記事の後半では、基本を覚えた後のステップアップ編として、ちゃんと登場させています。
まずは無料ツールで自信をつけて、次の挑戦としてぜひ活用してみてください。
AIデータ分析の事例
AIデータ分析が、実際のビジネスでどのように活用されているのか、事例をご紹介します。きっと、あなたのビジネスにも応用できるヒントが見つかるはずです。
とあるアパレルECサイトの例
お客様の過去の購入履歴やサイト内での閲覧行動をAIが分析。「このAというワンピースを見たお客様は、Bというカーディガンにも興味を持つ可能性が高い」と予測し、おすすめ商品として表示。
これにより、お客様は好みの商品に出会いやすくなり、サイトの売上(ついで買い)も向上しました。
とある食品工場の例
パン生地をこねる機械に、温度や振動を計測するセンサーを取り付け、そのデータをAIが24時間監視。過去の故障データと照らし合わせ、「いつもより振動が0.5%大きい」といった、人間では気づかない些細な変化を「故障の前兆」として検知します。
これにより、生産ラインが突然停止する大きなトラブルを未然に防ぎ、安定した生産を実現しています。
とある飲食チェーンの例
各店舗のレジデータと、その日の天気、近隣のイベント情報をAIに分析させます。すると「気温が25度を超えた晴れの日は、平日の15時以降にアイスコーヒーの注文が30%増える」といった法則を発見。
この予測に基づき、事前に材料の在庫を調整したり、的確なタイミングで割引クーポンを配信したりすることで、廃棄ロスを減らし、売上を最大化させています。
AIデータ分析のやり方・手法について
AIデータ分析は、魔法のように答えが出るわけではありません。正しい手順を踏むことが成功の鍵です。専門家の場合さまざまな手法を使いますが、基本的な流れは以下のように共通しています。
1.目的を決める(一番重要!)
最初に「何のために分析するのか?」を明確にします。「売上を伸ばしたい」「コストを削減したい」など、ビジネス上の課題をはっきりさせることがスタート地点です。
2.データを集める
目的に合わせて、必要なデータを集めます。売上データ、顧客データ、Webサイトのアクセスログ、アンケート結果など、分析の元となる材料です。
3.データをきれいにする(前処理)
集めたデータは、そのままではAIが分析できないことがほとんどです。入力ミスや欠けている情報を修正したり、表記を統一したり(例:「東京都」と「東京」を揃える)、AIが読み込めるようにデータを整える、非常に地味ですが重要な作業です。
4.AIで分析する(モデル構築)
きれいにしたデータをAI分析ツールに読み込ませ、分析を実行します。予測、分類、グループ分けなど、目的に合った手法を選びます。
5.結果を評価し、活用する
AIが出した分析結果が、本当に目的に合っているか、意味のあるものかを人間が評価します。そして、その結果から何が言えるのかを解釈し、「じゃあ、次はこんなキャンペーンをやってみよう」といった具体的なアクションにつなげていきます。
ChatGPTを使ったAIデータ分析例
会話AIとして有名なChatGPTですが、有料プラン使えば、驚くほど簡単にデータ分析ができます。
ここでは、架空のカフェの月別売上データを分析する流れを見てみましょう。
1. データの準備 まず、以下のような簡単な売上データをExcelやCSVファイルで用意します。
月, 売上(円) 1月, 500000 2月, 450000 3月, 550000
...というようなファイルです。
2. ファイルのアップロード ChatGPTのメッセージ入力欄の左にあるクリップマーク(📎)をクリックし、先ほど作成したファイルをアップロードします。
3. プロンプト(指示文)の入力 ファイルがアップロードされたら、あとは日本語でお願いするだけです。
プロンプト例①:データの要約とグラフ化
アップロードした売上データについて、以下の点を教えてください。
・データの基本的な統計情報(合計、平均、最大、最小)
・月別の売上を棒グラフで可視化してください。
プロンプト例②:傾向の分析
このデータから読み取れる売上の傾向や特徴について、ビジネスに活かせる視点で分析してください。
このように指示するだけで、ChatGPTは自動でデータを読み込み、集計し、グラフを作成し、まるでデータアナリストのように分析結果を文章で解説してくれます。
エクセルを使ったAIデータ分析例
多くのビジネスパーソンにとって最も身近なツールであるExcelでも、AIの力を借りてデータ分析ができるようになっています。Microsoftが提供する「Copilot for Microsoft 365」(有料)を導入すると、Excelの画面にAIアシスタントが現れます。
使い方はChatGPTと似ていて、Excelで分析したいデータ表を開き、Copilotに話しかけるだけです。
1. Excelでデータを開く 商品別の売上と利益がまとめられた、以下のような表を開きます。
2. Copilotに指示を出す Excelのリボンメニューにある「Copilot」アイコンをクリックすると、画面右側にチャットウィンドウが表示されます。そこに、やってほしいことを入力します。
プロンプト例①:データの分析とインサイトの抽出
この表のデータを分析して、重要なポイントを3つ教えて。
→Copilotは「商品Cは売上が高いですが利益率が低いです」といった、データから読み取れる洞察を提示してくれます。
プロンプト例②:新しい列の追加
利益率を計算する列を新しく追加してください。
→Copilotは自動で「利益 ÷ 売上」を計算する数式を判断し、新しい列を追加してくれます。
プロンプト例③:グラフの作成
商品ごとの売上と利益の関係がわかるバブルチャートを作成してください。
→複雑なグラフも、指示一つで瞬時に作成できます。これにより、Excelの難しい関数やグラフ作成手順を知らなくても、高度な分析が可能になります。
AIデータ分析の注意点
非常に便利なAIデータ分析ですが、利用する際には知っておくべき注意点が2つあります。
情報漏洩のリスクについて
特にChatGPTのような外部のAIサービスに、社内の機密データやお客様の個人情報などを安易に入力してはいけません。入力したデータがAIの学習に使われ、意図せず外部に漏洩してしまう危険性があります。
会社のルールを必ず確認し、許可されていない情報の入力は絶対に避けましょう。
ハルシネーション(もっともらしい嘘)リスク
AIは、時々、事実とは異なる情報を、あたかも本当のことのように生成することがあります。AIが出した分析結果や考察を100%鵜呑みにするのは危険です。
必ず元のデータと見比べたり、重要な判断をする際は他の情報で裏付けを取ったりするなど、「最後は人間が確認する」という意識を忘れないでください。
総括
本記事では、AIデータ分析の世界を、メリットから具体的な使い方、注意点まで、一通り駆け足でご紹介しました。
AIデータ分析は、もはや一部の専門家だけが使う魔法ではありません。Excelを使うのと同じように、すべてのビジネスパーソンがその恩恵を受けられる時代が、もうすぐそこまで来ています。
大量のデータを瞬時に処理し、人間では見つけられなかったビジネスチャンスの種を発見してくれる。そして、私たちを面倒な作業から解放し、より創造的な仕事に集中させてくれる。そんな「賢い相棒」が、AIなのです。
もちろん、情報漏洩のリスクや、AIが時々つくとっぴな嘘(ハルシネーション)には注意が必要です。しかし、その特性を正しく理解し、賢く付き合えば、これほど心強い味方はいません。
生成AIと上手く付き合い、あなたのビジネスを大きく加速させていきましょう!